第24話

初めこそ、そんな思い通りにならない恋愛が楽しくて仕方なかったけど、やっぱりどこか女王様気質のある(自覚ありです)私には、不満に感じることが多くて。


"本当に私のことが好きなの?"


そんなプライドも何もない質問を、ぶつけてしまいそうになる。


ねぇ、りゅうじさん。


私だけを見てよ。


……もし、私がそう言ったら、あなたはどうする?




「よし、決めた。あいが言った方にしよう」




軽く目を細めて笑うりゅうじさんに、胸がドキドキする。


こんな些細なことでも、私を選んだくれたような気がして、喜んでるなんて知らないでしょ?




「りゅうじさん」


「ん?」


「あのね、私」


「どうした」


「この前ね……男の子を持ち帰っちゃったの」




職場恋愛をする上で、自分の中に決めたルールがある。


①ぐだぐだな付き合い方はしないこと。


②みっともない駆け引きで、自分の品位を落とさないこと。




「それで?」


「可愛い子だから、そのまま家に置くことにした」




勝手に自分が作り出した"不安"を、払拭したいがために、相手を試そうとするのは、愚かなこと。


そんなことは分かってる。


もう子供じゃない。でもね、




「そうか」




理想論を貫けるほど、私は強くないんだよ。

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