第26話

寡黙という言葉がぴったりな近寄り難い雰囲気に、それを助長させる整った容姿。



実際のところは口数が多かったりするのだけど、親しくなってみないと分からない分、彼の友達は少ない。



そして、先程のように時々、「ぞっ」とするくらいわたしの心の声を読んでは、満足そうにくつくつと笑うのだ。



冷めているくせに変なところに熱しやすく、執拗に意地悪。というのが、わたし的な彼の分析。




「お前ら、何話してるの?」




おちゃらけた性格で人懐っこい高橋くんと、いつも一緒に居るのが不思議なくらいだ。




「別に大したことじゃないよ。それより、来週のサッカーの試合。今日スタメンの発表だろ?」


「あ~そうだ!後で先生のところに行かねぇーと」


「大変だな、キャプテンは」


「そう思うなら手伝えよ、副キャプテン」


「えー、面倒くさい」




イチゴ・オレを飲みながら首を左右に振る一条くんに、高橋くんは「ちぇ」と軽くしかめっ面をする。



けれど、すぐに何か閃いたかのように目を輝かせて、




「そうだ!美和、来週の試合、見に来いよ」


「え~?試合?」


「そう!これでもし負ければ最後になるんだ。だから、来てくれよ」


「ふぅーん、どうしよっかな?澪も行く?澪が行くなら行こうかな?」

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