第3話

 アイザック・アシモフの、「科学エッセイ」シリーズというのがあって、ハヤカワ文庫で、何冊か出版されていますが、SFの好きな、星新一とか吾妻ひでお氏が、非常に褒めて、高評価をしている。


 で、ボクも実際に読んでみたことがあるが、出色の出来というか、かなりユニークで、しかもほぼ読んだことがない面白い話題がチョイスされていて、なおかつすべて、人類として当然知っておくべきと思われる必須知識、そういう科学トピックが、作家らしい練達した語り口でたくさん紹介されているのです。


 読んだほうが早いですが、例えば「暦について」という章だと、太陽暦や太陰暦、そういうものが出来上がったそもそもの成り立ちや、それにまつわる裏話が詳細に語られ、眼からウロコというか、「そうやったんか!」と、膝を叩いて思わず何かにメモっておきたいような気になります。メモっていないのですっかり忘れていますが、だからなんとなく日ごろ疑問に思っているあれこれのこと、特に科学という、日常にわりとブラックボックスで、あえて理解してみようとまでしない分野にスポットを当てているという点で、博学でSFの大家のアシモフさんにしか書けない貴重なシリーズだと思うことでした。


 ちなみに、ホンダ?のロボットで、アジモ君、ASIMOというネームが入った、オートで動く模型?をニュースとかで見るが、あの名前の由来がアシモフ氏です。 「われはロボット」という有名な作品がある。


 例えば、「相対性理論」という、難解の代名詞みたいな物理学の現代セオリーがありますが、アインシュタインは、その考案者で、「20世紀で最もエレガントな頭脳」と言われるそうです。ボクも、「相対性理論は難しくない」という本を読んで、理解しようとか挑戦したことあるが、やはりよくわからんかったです。 その後もネットで「わかりやすく解説した」という説明を読んだりしたことあったが、ちんぷんかんぷんに近かった。そういうのを徒手空拳で?理論として発見して世間や学界に通用するものにまとめるとかいうのはまったく異世界の次元の話な気もする。


 そのアインシュタインは変人で、「語彙は300くらいではないか」という話もあった。科学は積み重ねていくものらしくて、数学の定理とかでも「これを証明出来たら1億円」なんていう賞金付きのもあるらしい。日進月歩で、常識もどんどん刷新されていくので、リアルタイムに科学をアップデイトするのは大変だろうし、多少殊勝に勉強しようとか「ニュートン」とか買って読んだり、たまにするが、やっぱりわからないことだらけのまま…


 SF作家でも、筒井康隆さんなどは、「科学考証を堀晃に依頼」とか、書いていたりして、SFを書いていても、自然科学の専門分野に通暁している人ばかりとは限らないし、ファンタジーに近い分野の方だと余計だろうし、個人差があるみたいです。


 ハードSFというのもあって、こういうのは読者を選ぶと思う…”わからない”のでは面白がれるはずもないし、本当の「小説の極北」というのは、こういう類のフィクションかな?とも思う。


 以前に、カクヨムの作家の知り合いで、マジェンタ?マゼンタ?と名乗っている、わりと面白い作風の方がいたが、この人があるとき、世にも奇天烈な作品を投稿していた。確かに日本語で、普通に読み取れる語彙を使ってはいるのだが、全体として何を言っているのかさっぱりわからないのです。

「たぶん数学とか理科の用語で書いている実験的な小説?」と、その時は読み飛ばしたが、今思うと「あれはひょっとしてエイリアンが書いたんやろか?」

 と、double take するみたいな感じになります。


 あれはほんまにケッタイやったなあ。



<to be continued >



 

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