第60話 地球が静かになる時

地球の神が居るらしい世界へと、アイテムボックスの中に入って居た人達全員で、転移してもらった。

俺の腹が刺された影響で、俺がモンスター化したら、地球は滅亡する可能性さえあるから。


俺が刺されて、皆んなに転移してもらってから、2時間が経っている。

もしモンスター化するなら、後10時間もしない内に変化するんだろうな。


それにしても眠い。


俺は回復魔法で、眠気さえ通常は無くす事ができる。

普段は最低1週間に一度は寝ているけど、無理すれば1年は寝ないでも活動できる。

ここまで強烈な眠気は、最近は味わった事が無かった。


眠気と闘いながら、ログハウスの扉を閉めようとした人達を無視して、ログハウスの中へ入る。

扉さえ1センチでも開いていたら、何百メートル離れていても、俺のスピードなら色々な方法で中へ入れる。


中に居た7人の神父やシスターの格好をした人達は、ちょっと俺の能力を舐めていたか、兄妹の父親が心配で、それどころじゃ無かったのかもな。


翻訳機を使い、簡潔に話を聞く。

『モンスター化させたのは、兄妹の父親なの?』

『予言スキルで、どんな内容を神から予言されたの?』


答える気は無さそうだけど、目線が僅かに動いて、彼等の心拍数も上がっている。


目線の先にはノートパソコンや、本の置かれた机があった。


鑑定情報改竄スキルで、7人全員のスキルやステータスを無くした。

それからオリハルコン合金生成スキルで、彼等7人、オリハルコンで身体を固めて拘束した。


身体を拘束しているだけだから、喋る事は出来るけど、7人は神に祈りを捧げているだけで、俺と会話する気は無いみたいだ。


机の上の本は、英語じゃない言語で書かれていた。

何語だろこれ、本の文字にカメラを合わせて読み取るが、翻訳機で翻訳されないな。

時間が無いから直ぐに、ノートパソコンの方を触る。


ノートパソコンにはIDとパスワードが設定されていた。

俺じゃパスワードをハッキングして、中を見るなんて無理だよ。


あれ?これって、タメ口お姉さんが殺した、オジサンの持っていた、ノートパソコンと同じ物に見える。


殺したオジサンの財布の中に入っていて、お姉さんから見せて貰った、IDとパスワードの紙をカメラで撮影して、保存しておいてよかった。

スマホの写真欄から、IDとパスワードの書かれた紙の写真を見つけて、その通りに目の前のノートパソコンに、パスワードを打ち込んだら中を見れた。


誰でも見られる様に、わざとパスワードを変更して無かったのかな。

もし世界中にノートパソコンをばら撒いているなら、頻繁にパスワードを変えたら困るか。


パスワードを突破できた。

ノートパソコンの中には、前に見た特殊帰還者リストが入っていた。

他にも以前のノートパソコンには入って無かった、各地の地下シェルターの場所が載った、リストも入っていた。

シェルターに階級があってCランクまでは、記載されたコードで、どのシェルターにも入れるみたいだ。

ただ地球にある大規模シェルターは、俺が全て高濃度の放射能汚染地帯にしているので、中の人間は全員死亡しているし、もう使えなくなっている。


個別にパスワードを入れるファイルもあって、それはパスワードを入力しても見られなかった。

他のパスワードが必要みたいだ。


全部で7台あったノートパソコンも、本も、ログハウス内にあった、食料や、家具やら服は全部アイテムボックスに仕舞う。


眠い、もうダメだ、そんな長い時間は起きてられない。


兄妹の父親を尋問しようとしたけど、彼の身体と、俺の身体は共有されていて、彼を殴ると、俺も殴られた箇所が痛い。


兄妹の父親は、とても心臓の鼓動が静かだ。

多分、彼をどんなに痛めつけても、それで自供するなんて無さそうだ。

娘を目の前で殺したら、発狂するかも、それでも俺が欲しい答えは、得られない気もする。


兄妹の父親は、余裕のある表情で俺を見ている。


身体がふらつく。

目を閉じて横になったら、一瞬で寝てしまうな。


もう、これ以上は調べるのも無理そうだ。


俺はログハウスに拘束している7人を殺さず、オリハルコンの拘束を解除して、通販スキルから2週間分ぐらいの保存食を渡して、放置する。

殺しても良いけど、彼等はもうスキルも何も無い。

連絡手段も、持ち物も、全て俺が回収したから、こんな辺鄙な場所で、逃げ切れるとも思えない。

もし俺がモンスター化しなかったら、また捕まえて彼等を尋問したらいいしな。


兄妹の父親は、拘束したままの状態で、俺と一緒に、俺が凡ゆるスキルを複合して造った、外から破壊するのが難しい部屋へ一緒に入る。

俺が壊せないログハウスまでとはいかないが、似たような転移も出来ない、壊れない部屋だ。


『俺がもしモンスターになったら、真っ先に貴方を殺すと思う』

『貴方を殺せば、身体を共有してる俺も、死ぬ可能性がある』


『良かったよ、身体が共有されていて、モンスターになった俺を止める方法があって』


聞こえないぐらいの小声で、日本語だから兄妹の父親は理解できないだろうな。


眠気がもう限界だ。


俺は自分の造った頑丈な檻の中で、意識を失った。



臭いな。


俺、死んでないよな?


目を開けると、夜の星空が綺麗に見えた。


俺は何も着ていない真っ裸で、周りには腐った臭いと、真っ黒な羽が散乱していた。


意識を失う前に持っていたスマホも、服も靴も近くに無い。


通販スキルで、電波時計を取り出す。

ダメだ使えない。


衛星時計も何個か試す。

あ、1つ使えるみたいだ。


時間を見て、間違いがないか何度も確認した。


時刻は日本時間で、2025年4月23日AM12時

俺が意識を無くしてから、半年以上経っている、その間の記憶は無い。


異世界から日本へ戻って来て、明日で丁度1年になる。

少女から聞いた予言が正しいなら、今から24時間後に、神が地球の生物を滅亡寸前まで追いやる。


立ち上がって天を見上げる、周りに明かりが無いから、本当に満点の星空が綺麗だ。


世界は静かだ。

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