「書きたい」ものと「届けたい」ものについて
遥 述ベル
執筆の際のアプローチ~「書きたい」ものと「届けたい」もの~
※ここで記すのは私個人の考えであり、最適解とは限りません。今の私がこうやって考えた方がやりやすく、しっくりくると考えた論理です。
それではどうぞ!
「書きたい」ものはそのまま伝わると思いますが、「届けたい」ものとはなにか。
これは私の作品の事例ですが、安楽死をテーマにして命の尊さを「書きたい」し「届けたい」と思い執筆していたのですが、途中からミステリ要素を交えたくなりました。
これによって面白くなったつもりではいたのですが、ミステリが「書きたい」もので命の尊さが「届けたい」ものになっていたように思います。
何が言いたいかというと、物語の核がぶれてしまったということです。
前半で安楽死要素、後半でミステリ要素を強めたのですが、読後感としては安楽死要素が薄れ、安楽死に陥れた犯人は誰なんだ?みたいなところに注目がいって、伝えたかったはずのものが「書きたい」ものに侵食されてしまいました。
上級者であれば、この塩梅を上手く調理できるのかもしれませんが、私の力量では足りませんでした。
このことから、「書きたい」ものと「届けたい」ものが何なのかを理解することが大事だと気付きました。
この二つが別々でも問題ないかもしれませんが、私は一致(または結びつく)した方がより良い仕上がりになると考えています。
ではどうすればこれらを一致または結び付けられるでしょうか。
まずは「書きたい」ものを優先してみます。
「書きたい」特定の展開があったとします。
例えば主人公が亡くなる展開としましょう。
これにどのような「届けたい」ものが含まれるか考えます。
「書きたい」ものの内容から考えて「届けたい」ものがこの衝撃展開面白いでしょ?だとします。
主人公のこれまでの苦い思いや周りの人間に愛されてきた姿を見せてこんなに頑張ってきたのに、愛されてきたのに亡くなったのはびっくり!悲しい!でも印象には残ります。
これだと私は物足りないと感じます。
ですので、「届けたい」ものを命の儚さとします。
そうすると、命の儚さを「書きたい」ものの中に要素として盛り込むことになります。
命の儚さ要素を混ぜて良い作品に仕上げることが可能だと思います。
ただ、その両方が中途半端になり、「書きたい」ものが「届けたい」ものと齟齬を起こす可能性があります。バランスを取るのが難しいかもしれません。
次に「届けたい」ものを優先して考えてみます。
命の儚さを「届けたい」ものとします。
これを表現するためにどのようなものを「書きたい」でしょうか。
私ならずっと一緒に過ごしてきた夫が突如病に侵され日常が一変する作品を「書きたい」です。
そうすると命の儚さにポイントを当てた書き方を意識することになるかと思います。「届けたい」ものを優先しているからです。
きっと、軸がブレずにアプローチできるのではないでしょうか。
以上、二つのやり方で作品に向き合ってみましたが、私は、「届けたい」ものを優先して書く方が、性に合うと思いました。
「書きたい」ものに「届けたい」ものを合わせるのか、「届けたい」ものに「書きたい」ものを合わせるのか。
私の伝え方だと「書きたい」もの優先は良くないように聞こえたと思いますが、きっと良いアプローチもあるはずです。
ただ、今の私では足りていないということで理解して下さい。
皆様の作品へのアプローチも是非コメント欄で教えて下さると嬉しいです。
「書きたい」ものと「届けたい」ものについて 遥 述ベル @haruka_noberunovel
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