ひょんな出会い

『逢いたい』と一言で、言っても


『目を見て話したい』

『カフェでお茶をしたい』

『一緒に登山をしたい』

『カラオケに行きたい』


とかいろいろな願望がある。



もしもの話…

いつか『この世』と『あの世』で生き別れてしまった人たちが逢える世界があったとしたら?


離れ離れになってしまった人と1人だけ逢うことができるとしたら『あなた』は誰と逢うことを望みますか?



『この世』と『この世』で生きてる同士ならたとえ仲違いしたしてもいつかは逢えるかもしれない。


しかし、『この世』と『あの世』で離れ離れになってしまった人たちは『あの世』で逢える保証なんてない。


「あの世で再会できました」

なんて報告があったとしたらそれは誠に恐ろしい報告だ。



いつか『逢える』と思って生きていたのにどちらかが違う世界に行ってしまった場合



悲しいことに今の科学では再会できるのかまではわからない。


いつか『逢いたい』と叫んでも

『逢いたい、逢いたい、逢いたい』と唱えてもきっと逢える気がするだけで逢えないのかもしれない。


でも私たちは逢える(かもしれない)に希望を持って現世を生きている。



いつか『この世』と『あの世』が交信できて逢いたい人に逢える時代が来るかもしれない。


そんなことを言ってしまうと『死』とはなんぞや?と言うことになってしまう、が。


『死』とはなんぞや?という世界になってもいつか『あの世』の逢いたい人に(1人だけ)と言う制限付きで逢えるとしたらみんなは喜んで逢いたいと思うのだろうか?


『あの世』の人と逢えても戻ってくるなんてそんなオカルトもオカルトの世界にどっぷり浸かる気はない。


『あの世』の逢いたい人が戻ってくるわけではなくても逢いたいと思うのか?


逢えたらその時は幸せでもまた寂しくなってしまうのか?


心の中で『今日も元気?』と唱えている方が幸せなのか?


ではこうしよう!

失った人と一度だけ逢えると言う権利を獲得したとする!


さあ?

その権利を行使する?


やはり一度今生の別れを経験した人とは逢わない?


わたしはただの一回でもいいから逢いたい人がいる。


空への行き方なんてわからない。

だからその権利を行使できるならしたい。



と願う日々を過ごしていると一匹の黒猫が姿を見せる…



黒猫はどこか気品があるようにも見えてどこか気高い。




その黒猫はこちらに向かって歩いてくる。



「さあ?あなたにあの世にいってしまった人と一度だけ好きな時に逢えるとしたらいつ逢う?」



と黒猫はぼんやり考えていたことを見透かしたように尋ねてきたのである。

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