薔薇色
奈那美
第1話
薔薇色。
よく、人生薔薇色だなんて言葉を耳にするけれど。
なんで人生が薔薇なんて花の色に例えられるんだろう?
ああ……赤だったり白だったり、ひとつの品種の花としては色の種類が多いからどんな人生もあるということなのかしら?
いえ、違うわね。
菊にだっていろんな色があるんですもの。
ああ、話がずれたわ。
そうね。
私には薔薇色の人生だなんて、縁がない話だわ。
あの人は……あの人はそりゃ、確かに私のことを『薔薇のような人だ』と評してくれたわ。
類まれな美貌に完璧なスタイル。
あの人に限らず、だれでもが私を薔薇に例えてくれた。
だけど、あの人が選んだのは白百合のような人だった。
私はあんなにもあの人を愛していたのに。
薔薇のような人……美しいと言ってくれたんじゃないことくらいわかっているわ。
私が……気性が荒くて、まるで薔薇のとげのように他人を傷つけるって意味だったことも。
だから──刺したのよ、あの人の左胸。
まっ白いシャツに広がった真紅の薔薇色。
とても綺麗だったわ。
薔薇色 奈那美 @mike7691
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