超能力者のオレと、霊能力者の彼女?
@fl1972
第1話
超能力者のオレ・神崎天翔(かんざき てんしょう)。春から中2。
だが最近、変な夢ばかり見る、黒く巨大な球体に追われる悪夢に
うなされている・・・。
家庭は裕福で父親と二人、豪邸暮らし。
ただ父親は企業経営者で、会社近くのマンションに寝泊りすることが多い。
だから、実質豪邸に一人暮らし。
通いのお手伝いさんが、家事全般こなしてくれる。
春休みのある朝、
気分転換に近所の道を通っていたら
道の先に、謎の女性占い師が神秘的な雰囲気が漂うテーブルで待っていた。
嫌な予感がするので別の道を行くことにしたが、
別に道へと行っても、ふたたび、道の先に謎の女性占い師が待っているのだった。
諦めて自宅へと引き返す神崎が、振り返った瞬間そこには、
謎の女性占い師が神秘的な雰囲気が漂うテーブルと共に、待っていた。
「まあ座れ。タダで見てやる。」謎の女性占い師がそう言う。
「急ぎますので」そう言って立ち去る神崎。
だが、
「オマエ、超能力者なんだろう、だったら察しがつくだろう」
「ついでにオマエに、恥ずかしい呪いをかけてやったよ」
「カラダを見て見てみろ」と謎の女性占い師が言い放った。
神崎が腕を見てみると「エロ」の文字が浮かびあがっていた。
さらに、顔から足の先まで全身に文字が広がっていた。
「こんなもの直ぐに消せる」と超能力使って一瞬で消し去る神崎
だったが、
「無駄だ。呪いの文字は再び浮かび上がる」
「私が解除しない限り 消えない」と余裕たっぷりの様子で応えた。
振り向き、戻ってきた神崎は、
「一体、何がしたいんだ?」「どういうことなんだ?」
と迷惑極まりない占い師に困惑。
「なに、大したことじゃないんだよ」
「ちょっと手伝ってもらいたいことがある」
「うちの娘の能力を大開放してもらいたい」
と言う占い師。
「えーっ、それだけの能力があるんだったら自分でやればいいでしょう」
「そもそも、僕には霊的な能力まったくありません」
「何もできないと思います」
と神崎。
「私も色々やってたんだが、全く効果はなかった」
「それで何人かのご先祖様を呼び出し話を聞いてみたんだが」
「どうやら 特殊な能力を持った同級生の男がキーポイントらしい」
「その男と何らかの関わりを持つうちに、能力は開放していくらしい」
「つまりお前だよ、複数のご先祖様がお前を名指しした」
「協力してくれている間は呪いは停止する」
「娘の能力が開放したら、呪いはすぐ解除する」
今回の目的を明かした占い師。
「うーん」と深く考え込んだ神崎。
その時、
「ダーリン、みっけ」といって、ぽっちゃり中ニ女子に抱きつかれた神崎。
「離れろ」と神崎が言っても離れないぽっちゃり中ニ女子。
「そいつが娘の凛、 霧島凛」
「私が占い師で霊媒師、霊能力者の霧島霊華。以後よろしく」
「新学期から娘と同じクラスになると思うよ」
という占い師。
「ちょっと待って、それはやめてくれ」
「協力はするから同じクラスだけはやめてくれ」
「その代わり 娘の能力を活性化する新しい部活を作って
そこで協力しよう」
と提案する神崎。
「分かった、それで手を打とう」
「それではまた」と言うと、煙のように消え去った霊能力母子。
神崎は、娘に抱きつかれた時「謎の巨大な球体」のイメージが
浮かんで、この出会いが自分にとって何かを意味すると感じていたのだった。
中2の春の新学期。
2年1組のオレ・神崎天翔。2年2組の霧島凛。
ところで、中学校で独自部活を作るには、
1.部活動の活動場所を決める。
2.5名以上の部員を集める。
3.顧問を引き受けてくれる先生を探す。
が必要。
神崎は、新しい部の名称をとりあえず「怪奇現象解明部」とした。
不思議な出来事、怪奇現象謎に迫っていく、そして、
部員の能力活性化を行っていく。
担任の女性教師・高橋あゆみに部活の内諾をもらい、
顧問を引き受けてくれることに。
活動場所には、図書館か教室で。
決まった座席を作らないフリーアドレスオフィス的に活動する。
後は、部員を集めるだけ。
二人以外に、部活にのめり込んでいない同じ2年のヤツらに、声を掛けて、
イケメンで女好きな男性生徒・風間烈。
読書好きな女性生徒・緑川杏奈。
おしゃべりな男性生徒・西園寺公平。
ら三人を勧誘、入部させ、「怪奇現象解明部」はスタートした。
「怪奇現象解明部」初日。
とりあえず、放課後に図書館に集合、
神崎は、部活の活動方針など説明した。
さらに、「一応、部長兼雑用係は、オレがやろう」
「初日なので、自己紹介でもしておくか」
「まず、オレから。部長兼雑用係の神崎天翔です。よろしく」
次ぎは、
「霊能力修行中の霧島凛です。よろしく」
神崎は、「ちょっと、付け加えると彼女の母親が占い師で霊媒師、霊能力者の
霧島霊華なんだよ」
「なんだかんだで、彼女の母親に頼まれて新しい部を作ることになったんだよ、
そういうことで」
と言うと、間髪いれず、霧島凛が神崎に抱き付いて、
「私のダーリンです。私のいい人です。」と宣言。
神崎は「ギャグだから、みんな気にするなよ」と反論。
そして次ぎは、
「正直モテます。まだ磨きをかけたい風間烈です。お見知りおきください」
続いて、
「本が好き、読書が好き、不思議な話が好き、緑川杏奈です」
最後に、
「ええ、終わりよければ全て良しと言う事で、全て良しの西園寺公平です。
ご清聴 ありがとうございました」
神崎は、「一通り終わったので、今日のところは解散しよう」
「ちょっと待って」と陽気でおしゃべりな西園寺公平が、
「せっかくなのでお茶会とか親睦会とかやろうよ」と提案。
「校則があるので店とか無理だろう。うちの家は近いので、うちでやるか」
と神崎。
神崎の豪邸に着いたメンバーたちは、口々に「こんなに豪邸に来るのは初めてだ」
と驚いている様子。
神崎はインターホンで、お手伝いさんの清水さんに
「庭がいいかな、コーヒーでも持ってきて、五人分ね」と頼んだ。
個性豊かなメンバーが集まった。
明日からは、不思議な出来事、怪奇現象の情報収集、そして、
部員の能力活性化をやることに。
コーヒーと洋菓子で素敵なティータイムを過ごしたメンバーたちは、
自宅へと帰っていった。
「怪奇現象解明部」を通称、「カイメイ」とし、
「怪奇現象解明部」初日を、「活動0(ゼロ)日目」とした。
カイメイ1日目、
今のところ、不思議な出来事、怪奇現象の情報ないので
「トランプのカード当てゲーム」でもして、能力活性化を行っていくことに。
神崎が「テーブルの上にランダムにカードを裏にして10枚置くので、
カードを透視して、その答えを用紙に書いて」。
トランプのカードを、よくまぜ合わせ、手際良く並べた神崎。
「さあ、よーく透視して、答えを書いて」
15分後、答えは
答えは「スペードA,ハート5,ダイヤK,クラブ7,スペードJ,
ハートQ,ダイヤ3,クラブA,スペード10,ハート2」
結果は、
風間「ハートQ,ダイヤ4,クラブJ,スペードA,ハート3,
ダイヤ10,クラブ8,スペード5,ハート2,スペード7」
残念、0点。
緑川「ダイヤQ,クラブ7,スペードA,ハート4,ダイヤ3,
クラブJ,スペード9,ハートK,ダイヤ10,クラブ5」
残念、0点。
西園寺「クラブ9,スペードK,ハート5,ダイヤ2,クラブA,
スペードQ,ハート7,ダイヤJ,クラブ3,スペード10」
残念、0点。
霧島「スペードQ,ハート5,ダイヤ7,クラブK,スペード5,
ハートQ,ダイヤA,クラブ2,スペードJ,スペード2」
結果、霧島だけ2点で、後は0点。
「ちょっと待てよ、イカサマっぽいな、今度はオレに並べさせろ」と、
おしゃべりな西園寺公平。
「ああ、いいいよ。みんなでカード並べて、オレがひとりで当てるよ」
と神崎。
そこで、西園寺・霧島・風間・緑川の4人は。
カードを10枚裏にして並べた。
「よし、いいぞ、当てて見ろ」とちょっと挑発する公平。
たが、
神崎は、ひとつずつ淡々と言い当てて、10枚全部正解した。
「どういうトリックなんだ、タネあかししろよ」と公平。
「誰にも言うなよ、オレは超能力者なんだよ。ここだけの話だ」
と神崎。
「冗談はよせよ、だったら、オレのサイフに
今いくら入っているか当てて見ろ」
「当てたら信用する」と公平。
「えっーと、348円とお守りだ」と即答する神崎。
テーブルの上に、サイフから中身を出す公平。
「うーん、三百と四十八円、それにお守り」
「正解だ、おみそれしました」と公平。
「凄い」と風間と緑川も絶賛。
「流石、私のダーリン」と凛。
「ダーリンは止めろ」と神崎。
「霧島の母親の霊能力は、もっとすごいぞ」
「気をつけろ、悪口とかいうな、呪いかけられるぞ」
「娘の凛は本来、史上最大クラスの能力があるらしい」
「凛の能力が開花してないので能力活性化を頼まれた」
「霧島の母親が言うには、何らかの因縁があるらしい」
「そのせいで、母親り能力をもってしても活性化できないらしい」
「なので、みんなよろしく」と神崎。
「みんな、私のダーリンよろしく」と凛。
「だから、ダーリンは止めろ」と神崎。
そんなこんなで、1日目、終了。
カイメイ2日目、
顧問で担任の女性教師・高橋あゆみから、2年2組の黒板消しが、
行方不明になっているから、「怪奇現象解明部」で探して、
と依頼が舞い込んだ。
「黒板消し探しかよ」
「そもそも、平凡な三人の風間・緑川そして、
オレ西園寺らは退屈なだけだ」と公平。
「だったら、霧島の母親の霊能力は凄いので、一回みんなで会って、
能力活性化してもらおう、少しは能力アップするかも」と神崎。
ひとまず、
占い師で霊媒師、霊能力者の霧島霊華の「占いの館」へと
向かった五人。
占いの客が一段落したしたので、事情を話して、
五人まとめて、霊能力活性化お願いした。
「どれぐらい結果出せるか分からんよ」と霧島霊華は言って
五人に、地を這うような低い声で呪文唱えたのだった。
「よし、これぐらいでいいだろう」と霊華。
「ついでに、このお守り持って行け、五人分ある」
「多少の魔除け効果もあるぞ」
「ひとり五百円だ。特価だぞ、大人なら十万円だな」
と霊華。
「金取るのかよ」と公平。
「わかりました」と神崎がまとめて払った。
「占いの館」後にした五人、
学校に戻って能力の状況をテストしてみた。
再び、
「トランプのカード当てゲーム」。
トランプのカードを、よくまぜ合わせ、裏にして10枚並べた神崎。
10枚中、当たったのは、
風間は、1枚。
緑川は、2枚。
西園寺は、1枚。
霧島は、4枚。
神崎は、10枚。
「まずまずの結果だな」と神崎。
では、
「消えた黒板消し事件を、透視・霊視してみよう」
「オレは、見えているので」と神崎。
すると、
「ダーリンが見えてるなら私も見えている」と凛。
そして、神崎に耳打ちする凛。
「正解」と神崎。
ということで、残り三人で解決することに。
風間は、黒い人影が動いているのが見える。
緑川は、よからぬ計画を話しているのが聞こえる。
西園寺は、二組の方だな。
風間・緑川・西園寺の三人は、
「感覚が敏感になっている気がする」と口を揃えて言った。
「霊能力者・霧島霊華の呪文が効いているな」と神崎。
二組へ移動する五人。
「三人、間隔あけて、目を閉じて、黒板消し感じる
方向を指差して見て」と神崎。
三人が指し示す方角が交わる場所、「掃除用具入れロッカー」。
「目を開けて、指し示した所を探して見て」と神崎。
三人は、「掃除用具入れロッカー」の中を探し始めるのだが、
黒板消しは見つからず。
ロッカーの上にも下にも、背後にもない。
「惜しい、でも、ほぼ正解だよ」と神崎。
神崎は、「掃除用具入れロッカー」の中から、バケツ取り出した。
バケツは、二重底になっていて、内バケツ外し、その下から黒板消し、
取り出した。
「あるヤツのイタズラだ」と神崎。
「一応、顧問で担任の女性教師・高橋あゆみに、黒板消し見つけたこと
を報告しといてくれよ、霧島」
「分かった、ダーリン」と凛。
「だから、ダーリンはやめろ」と神崎。
カイメイ3日目、
今日は、中学校全学年で山の上自然公園へ新入生歓迎遠足。
各学年・各クラスで親睦の輪が深まるように、
往復約十キロの道のりを. 歩くことに。
森の中を歩いていると、
鳥のさえずりが心地よく響き渡り、
緑豊かな木々や鮮やかな花々に囲まれ、
川のせせらぎや風の音が心地よく、
五感が研ぎ澄まされる。
道の途中、
道の脇に、ひっそりと小さなお地蔵様がたたずんでいる。
よく見ると、頭部が無くなっていた。
気にしつつも、中学全校生徒の遠足の列が進んでいくので、
流れにのって、神崎らも進んで言った。
そんな中。
「ダーリン、待ってよ」と隣のクラスの霧島凛が追いついてきた。
「ダーリン、お地蔵様が怒っているよ」。
「凄く、悪い予感がする」と凛。
神崎も「いやな、感じがするな」と同意する。
生徒の遠足の列が目的地の山の上自然公園に到着。
各学年・各クラスで人数を確認するが、
一年生三名が行方不明になっている模様。
引率の先生たちが集まり協議、警察にも連絡している。
各学年・各クラスの生徒たちは全員、昼食すませて、
ただちに、帰路につくことに。
一方、
「怪奇現象解明部」のメンバー神崎・霧島・風間・緑川・西園寺ら
五人も集結、今後の行動についてどうするか話し合い、
一旦、顧問で担任の女性教師・高橋あゆみに、相談することにした。
神崎は、顧問・高橋に、
「怪奇現象解明部のメンバーらが、一年生行方不明の件、
捜索にお役に立てるかもしれません」と提案した。
「うーん、神崎君は、何か知っているの?」と顧問で担任の高橋。
「三人が脇道で遊んでいる姿を見ました」
「場所は、説明しにくいので僕らで案内します」と神崎。
「分かった、そこまで案内したら五人は学校に帰ってちょうだい」
「また、遭難するとややこしいからね」と顧問で担任の高橋。
「しょうがない、帰って捜索の戦略練りなおそう」
怪奇現象解明部のメンバーら五人も、担任の高橋とともに。
山を下りて行った。
途中、頭部が無くなっているお地蔵様のところで、
「この脇道の方で三人は、じゃれながら遊んでいました」
「多分、この先へと進んでいったと思います」
と神崎。
「分かった、貴方たちは帰って」と担任の高橋。
部のメンバーら五人は、他の生徒とともに、
学校へと帰途についた。
もし、行方不明の一年生たちが見つからない場合、
次の日の休みに、部のメンバーらで探すことにして、
五人は、自宅に戻った。
神崎は超能力で一年生行方不明の件の経過を
探ってみたが、進展無し。
カイメイ4日目、
神崎は「怪奇現象解明部」のメンバーに連絡してみたが、
風間・緑川・西園寺ら三人は、
先約だったり、体調不良だったりで、今回は参加しない、
との事だった。
そもそも部を作ったのは霧島凛の能力活性化だったので、
神崎はテレパシーを霧島凛に送ってみることにした。
深呼吸をし、意識を集中して神崎はメッセージを送る。
「霧島凛、聞こえるか?」
静まりかえった空間で、神崎は返事を待つ。
しかし、何も返ってこない。焦りを感じながらも、
神崎は諦めずにメッセージを送り続ける。
一方、
霧島凛はいつものように、お茶とお茶菓子を静かな自室に運び、
窓際の椅子に腰掛けた。柔らかな光が差し込み、書斎全体が
温かい。
窓の外には、緑豊かな庭が広がっていて、鳥のさえずり、
穏やかに過ごしていた。
そんな時、突如、神崎の声が聞こえてきた。
「凛、聞こえるか?」
びっくりして、辺りを見回すが誰もいない。
「何これ?ダーリンなの?」
「聞こえ待てますよー」
「不思議な感覚だけど、嬉しい」
「心の奥底で語り合っているみたい」と凛。
「明日、朝七時にうちの前に集合だ」と神崎。
「朝七時早いけど、がんばってみる」と凛。
翌日、朝七時。
自宅前に立つ神崎だが凛は来ない。
と思った瞬間、突如、姿を現す凛。
「凄いな、能力開放しているんじゃなのか?」と神崎。
「母親にここまで飛ばしてもらったんだよ」と凛。
「だったら物は試し、瞬間移動(テレポーテーション)に
挑戦してみよう」と神崎。
「えーっ、やったことないよ」と凛。
「だから、やってみるんだよ」
「頭部が無くなっていた地蔵さんの所、イメージし、
精神を集中させて、一気に飛んで行く」と神崎。
霧島凛も精神を集中させて、えいっとやってみるが
変化無し。
何度かやっているうちに、突然二人は消え、
違う場所に移動した。
しかし、ここは「トンカツ屋」の前だった。
「なんで、トンカツ屋なんだ?」
「とんかつ食べている夢見たからかなあ」と凛。
「上手く飛べて、事件解決したらトンカツおごってやるよ」
と神崎。
「やった、だったら早く行こう」と凛。
ふたたび、凛は精神を集中させて、えいっと
勢いを付けて念じた。
二人は、瞬間的に地蔵さんの前に移動。
「おおっ!」とふたりで唸った。
二人は、行方不明の一年生たちの痕跡をたどって。
脇道へと入って行った。
木漏れ日が差し込む緑豊かな道は、静寂に包まれ、
鳥のさえずりだけが響く。
二人は、行方不明の一年生たちの痕跡の続く道を探し、
古びた地図とコンパスを頼りに歩を進めていた。
道中には、獣が通ったと思われる足跡や、折れた木の枝など、
様々な痕跡が残されていた。
神崎はそれらの痕跡を一つ一つ確認し、
地図と照らし合わせながら進む方向を確認する。
凛は、神崎の後ろを歩きながら、生い茂る草木や
美しい花々に見入っていた。
「ダーリン、この足跡、もしかして熊かも・・・」
凛が、地面にできた大きな爪痕を指さす。
神崎は顔をしかめ、慎重に周囲を見渡す。
「熊か・・・気をつけよう。でも、この方向で合ってるはずだ。」
神崎は、再び地図を広げ、痕跡を確認しながら、一歩一歩進んでいく。
道は次第に険しくなり、岩場をよじ登ったり、急な斜面を下ったりする
場面も出てきた。
しかし、二人はその能力で、一歩ずつ着実に
行方不明の一年生たちのへと近づいていく。
そして、
「ここらあたりだろう?」と神崎。
「あそこだ!石にされている」と凛が叫んだ。
その瞬間、小石が次々と二人をめがけて飛んできた。
神崎は、超能力でバリアを張り、小石を止めた。
「出てこい悪霊!」と神崎。
黒い地蔵のような影が現われ、二人に襲いかかる。
神崎は、超能力で応戦するが全く効かない。
二人は黒い影に覆われ。息ができなくなる。
神崎は凛に、「霊能力フルパワーで応戦しろ」と叫ぶ。
凛は「うぉぉぉー」と唸るが効果無し。
神崎は息も絶え絶えで、「オレが凛にパワー送るから
もう一度全力で攻撃してみろ」とかすれる声で言った。
「いくぞ、うぉぉぉー」と二人で能力合わせ強力な光を
放った。
「ぐああああ!」
黒い地蔵のような影は、一瞬にして消し去る。
やがて、静寂だけが残った。
「ふーっ!ひとつは片付いたな」
「凛の中の巨大な球体にパワー送ったのが効いたな」
「凛、石にされた三人は戻せるのか?」と神崎。
「無理、やったことない」
「凛の中の黒く巨大な球体に、パワー送るから試してみろよ」と神崎。
「わかった、やってみる」と凛は言って。両手を石にされ三人に向けた。
神崎は凛の肩に手を当て、少しずつパワー送った。
「戻れ!、戻れ!、戻れ!」と唱えた凛。
石にされ三人は、光に包まれ次第に元に戻っていった。
座り込んだままの三人は、ぼんやりと辺りを見回している。
「よし、お地蔵さんの所に行こう」
「凛、五人全員飛ばせよ、パワー送るから」
凛は、大きく両手を広げ「お地蔵さんの所に、飛べ!」と叫んだ。
すると、
五人全員は、瞬間的にお地蔵さんの前に移動。
「おおっ!安定してきたな」と神崎。
神崎は、
「じゃあ、頭部はオレが戻す」と言うと、両手をを森に向け
サイコキネシス(念動力・念力)を使って、お地蔵さんの
頭部を森の中から探し出し、一気に引き寄せ、胴体に
くっつけたのだった。
そして、
用意しておいたお菓子や団子、おにぎりなどお供えし、
お地蔵さんに、心から謝罪して、みんなのことを見守ってくれるよう
気持ちを込めて祈った。
「これで一件落着だ」
「凛、今度は五人全員、学校まで飛ばせるか?」と神崎。
「パワー送ってくれたら、出来そうな感じがする」と凛。
神崎は凛の肩に手を当て、少しずつパワー送り、
凛は五人全員、学校まで瞬間移動させた。
学校の前で、神崎はその超能力で一年生たちの記憶を
「道に迷って疲れて寝てた。先輩たちに見つけて貰って、
歩いて帰ってきた」と書き換えた。
そして、数人の先生達がいる職員室へ行って
無事帰ってきたことを報告。
ちょうど、顧問で担任の女性教師・高橋あゆみもいたので、
「道に迷って寝てた一年生たち三人、無事つれて帰ってきました」
と神崎と凛は、報告した。
女性教師・高橋は、「二人だけで探しに行くのは感心しないわね」
「でもみんな無事で良かった、ありがとう、お疲れ様」と
二人をねぎらった。
神崎は凛に「さあ、帰るか」と言うと、
凛は「ちょっと待った!トンカツ忘れないでよ」
「だったら、お気に入りのトンカツ屋に飛ばして見ろよ」と神崎。
「分かった」と言うと、凛は精神を集中させて、
えいっと念じた。
二人は消え、トンカツ屋の前に、見事移動出来たのでした。
トンカツ屋に入店、空いている席に座る二人。
「何にする?」と神崎。
「ロースかつ御膳のダブルで」と凛。
「オレは、おろしひれかつ御膳で」と注文した。
しばらくして、注文の品が来ました。
「やっぱり、とんかつって最高だよね!」
揚げたてのとんかつを頬張ると、ぽっちゃり女子・凛は、
そう満面の笑みを浮かべた。
目の前の神崎は、箸を止め、凛の方をじっと見ていて、
「美味しそうに食べるなぁ」と感心する。
二人は、食事を終えると、店を出た。
外は、夕暮れ時で、空が綺麗なオレンジ色に染まっていた。
「じゃあ、凛の自宅まで二人で飛ぼう、頼むよ凛」。
「分かった」と言うと、凛は再び、精神を集中させて、
その瞬間、二人は消え、凛の自宅の前に、見事移動。
「ありがとうダーリン」と凛。
神崎は「またな」といって自身の超能力で自宅へ戻った。
こうして、一年生行方不明事件は解決したのでした。
めでたし、めでたし。
超能力者のオレと、霊能力者の彼女? @fl1972
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