第3話

ピンと張り詰めたような冷たい空気が流れる2月の朝、マフラーをぐるぐると首に巻いていても寒い。



それでもわたしの足取りは軽くて、ぴょんぴょんっと凍った地面を飛び跳ねるようにして歩いた。



誕生日に告白しようと決めたのは、親友の優香にそそのかされたってこともあるけど、



もうすぐバレンタインデーがくるから、ってのが大きな理由。



先輩はすごくモテる人だから、バレンタインデーまで待っていたら、他の人に先越されちゃう。



先日、優香とそのことについて話している時に、抜けがけ作戦を思いついたのだ。



事前にメルアドをゲットして、メル友になってから告白するという作戦もぬかりないです。





……結果は???




「あ~玉砕!あっさりと振られた!」




ガックシと項垂れるわたしに、優香はケラケラと明るい声を出して笑った。




「あはは、やっぱりダメだったか」


「酷い、優香が告白しな、って言ったんじゃん!」


「いや~まさかホントに告白するとは思わなかったから」




何よそれー!人ごとだと思って!

目を剥いて優香を睨みつけると、彼女はペロッと舌を出した。



「舞妃ー、考えてもみなよ、先輩は学校イチのモテ男だよ?しかも彼女持ちだよ?そんな人がうちら庶民を好きになるわけないじゃん?」



……確かに。

優香の言うことは尤もだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る