第2話

いつもは目覚まし時計がけたたましく鳴っても、瞼を開けることが出来ないわたしだけど、



この日ばかりは夜明け前からそわそわと、枕元に置いたスマートフォンを手に取ったり戻したり、を繰り返していた。



~~~♪♪



「あ、きたっ!」



ガバっと布団を蹴り上げて、使い慣れていないタッチパネルを操作する。



HAPPY BIRTHDAY MAIHI!



クマの可愛いアイコンからパッと飛び散ったように浮かび上がる文字は、17歳になったばかりのわたしの胸を舞い上がらせた。



「先輩、ちゃんとわたしの誕生日を覚えててくれたんだ」



嬉しい……嬉し過ぎる。

幸先良いメールに、これから起こること全てが上手くいくような気がして軽やかにベッドから床へと降りた。



村瀬 舞妃(まいひ) 17歳と7時間。



1年で1番嬉しい日に、大好きな先輩へ告白します!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る