秘密結社maybe~世の闇暴きます~

@yurutetsur

プロローグ

あなたは、秘密結社というとどんなイメージを思い浮かべるだろうか。

中には、不穏な雰囲気に感じて、嫌悪を抱く人もいるだろうか。

しかし、ほんとに嫌われるべき集団なのか、考えてみたい。


ここは、日本のとある街。コンビニに入っていく一人の男。

「今日はカスピ海かな。」

お気に入りの飲むヨーグルトが買えてご満悦のようだ。彼の名はマッキー。本名は秘密結社という性質上明かしていないのでいつもコードネームで呼ばれている。そうこうしているうちに、コンビニを出ようとする。しかし、マッキーはすれ違いで店に入っていく2人の不穏な影を感じた。いかついグラサンにリアルでいかにもなヒゲの長さ。怪しいと思っているうちに、女の声が聞こえた。

「ちょっと、何よ?」

彼女はそのまま外へ逃げていく。マッキーはジャンパーの袖をまくりながら横の倉庫の影から状況を伺ってみる。彼女はひるむことなく言い返す。

「もう父さんとは縁を切ってるから。関係ないでしょ!」

そんな反論の声もむなしく彼女が男達に倒されるのが見えた。いてもたってもいられなくなったマッキーは、男達の前に出ていく。

「ちょいちょい、お兄さん方。こんなとこで、はた迷惑なことしないでくださいよ。だいたいこちらのお嬢さんが怖がってるでしょ?」

マッキーのいかにもな正義の味方ぶる姿に、男達は標的を即座に変更した。

「なんだ、お前。ぶちのめされたいか?」

マッキーはしめしめと、敵の視線を彼女から反らせるように180度回りつつ、距離を取った。マッキーの無口な睨み付けに男達はしびれを切らした。

「なめてんのか!お前!」

ライオンか、はたまたチーターか。鋭い眼差しとともに、2つの拳がこちらに向かってくる。その瞬間マッキーは、膝を上げ、一蹴り二蹴りとローキックをお見舞いして見せた。

腰元にダメージを負い、のたうち回る男達にマッキーは一言、

窮鼠きゅうそ猫をかむ、だな。」

男達にニコッと笑いかけたあと、何が起こったかわからず立ちすくむ彼女を半ば男達の共犯であるかのように強引に物陰まで引っ張っていく。

「ケガは無いかい?」

「無いかな。」

心配するマッキーに少々塩らしい態度を見せる彼女。

「僕は、マッキー。君は?」

「私は、瀬野。ていうか偶然私がやられてるのを見かけただけで、助けてくれるなんてどうして?」

マッキーは、すかして答える。

「だって、あんな位置で戦われちゃ嫌でも視界に入るじゃん?なんかずっと君がやられてる姿を見てるだけってのが苦しくてね。」

「ありがとう。でも・・・」

瀬野の顔が曇る。

「私は、1人でなんとか出来るから。もう20代だし。心配ありがとね。」

「わかった。応援してるよ。でもさ、もし困ったことがあったら遠慮なく電話なり、ここに来るなりしていいから。」

マッキーは深入りはせず、穏やかに名刺を差し出した。そこには、「秘密結社」の文字と本部らしき住所が書いてある。

「なんだか、怪しそう。大丈夫?」

「怪しくないよ?必ずあなたを助けてあげる。」

マッキーの優しい一言も効かず、瀬野は名刺を払いのけた。

「誰かに頼らなくても、自分でなんとかするから。」

風に舞い、ゆっくり落ちてゆく名刺の横を瀬野は足早に去っていく。

「あっ!決してナンパじゃないよー!」

マッキーの冗談も無情に響くだけだった。

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