速く読む

のう

速読

昔は本が速く読めた。

続きを知りたいとページをめくるうちに

気づけば一冊読み終わっているのが常だった。

だけど私は変わってしまった。

今、私は本を速く読んでいる。無理やり速く読んでいる。

無論内容なんて入ってこない。

ただ、本が読めなくなっていることに気づかれるのが怖くて。

唯一の自慢さえなくなってしまうことが恐ろしくて。

楽しくない読書を許した。

読めてるふりを優先した。

焦りが私をそそのかした。

ごめんなさい。ごめんなさい。

私だって気づいているよ。

気づいていないわけがない。

今私が読み飛ばした一節に

せわしない人生の終止符があったことに。

気づいててそれでも

私は読み飛ばすことしかできなかった。


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速く読む のう @nounou_you_know

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