第3話遺体置き場

鈴木健二の死体には不可解な点が多かった。仙岩寺と広坂、そして、林はビニールシートを被せて、旅館の地下に安置した。

もう一体は、平山美穂だ。


「仙岩寺さん、なぜ、鈴木健二は顔を潰され、左手首を切り落とされたのでしょうか?」

「……私にはさっぱり」

仙岩寺はショートホープを吸っていた。

「多分、犯人にとっては重要な事かも知れませんね」

「仙岩寺さん、取り敢えず台風が去るのを待ち、我々は捜査を開始します」

「そうしましょう」


翌朝

朝食が出た。大里大学の連中は、殆ど食べなかった。

仙岩寺はご飯を3杯お代わりした。


この島にいるのは、大里大学の卒業生、橋本竜介、菱田美智子、林賢太、女将、板前、そしてその下の料理人2人、中居3人、仙岩寺、平坂だけだった。

他に客はいない。


「この料理の材料は、地下の保存庫にあったものよね?」

と、菱田が中居の田島に尋ねると、

「そうですが」

「そこに、死体もあったんでしょ?」 

「……」

「食べられる訳がないじゃない」

「そう言われましても」


「いい!私、部屋に戻る」


菱田は一足早く部屋に向かった。周りの元学生らも部屋に向かう。

仙岩寺は観察していた。

何かある。


海の波が高くなってきた。電話も繋がらない。

台風が最も接近するのは、明後日だった。

九州は、台風銀座だ。


林は、死体のショックか顔色が悪かった。

後数日間はこの島は、孤島となる。

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