ミンチー

Sugie Bunko

第1話 娘のために

 「ミンチー」がとうとう手に入った。強い高揚感に浸りながらも冷静に受け取った段ボール箱にカッターを入れる。これで娘とまた、、、、私は興奮を抑えながら、塾から帰ってくる娘を待っていた。

 ミンチーとはぬいぐるみのことである。しかし、それはただのぬいぐるみではなかった。当時、このぬいぐるみは若者のトレンドとして非常に流行していた。そのため、どこもかしこも売り切れ状態であり、入手困難なプレミア商品と化していたのだ。きっかけは、ある女性インフルエンサーがsnsでこのぬいぐるみをおもしろおかしく取り上げたことにあった。なんでも、その女性いわく、このぬいぐるみがいると、心の底から穏やかな気持ちになれるそうだ。

 娘も多くの若者の例に漏れず、このくまのぬいぐるみを欲しがっていた。しかし、どこのお店に行っても、ネットで探しても売り切れ状態であり、なかなか娘はそのぬいぐるみを手に入れることができなかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る