一秒のノイズ

夕日ゆうや

ノイズの世界

「我らシシローに……」

 ざざ。

 一秒のノイズが走る。

「……この世界は滅んだ」

「どうなっている?」

 上司のひろたかは怪訝な顔をしている。

「敵軍接近」

「迎撃用意。宇宙人などに屈するな!」

 我々は先ほどまで優位に立っていたはずだ。

 にも関わらずノイズ交じりの音を聞いた瞬間から、世界が一変した。

 まるでこちらの無意識領域が変化したような……。

「B3攻撃開始!」

「待て!」

 一介の二等兵の言葉など誰が聞くか。

「ミサイル全弾命中」

「待て……、これは……」

 レーダー班だった増長が血の気の引いた顔を浮かべる。

「友軍です」

 悲鳴に似た声を上げる増長。

「なんだと!?」

 軍曹は焦りを見せる。

「相手は精神を音で操っているんだ」

 俺はそう言い前に出る。

「そんなの不可能だ!」

「侮った俺たちの負けだ」

「そんなことはない」

 電気光学を専門にしていた一等兵が声を上げる。

「相手が電波に乗せているならノイズを除去すればいい」

「そんなこと!」

「できます」

 カタカタとキーボードを叩く一等兵。

「ノイズを排除します」

 NCTダズラークを起動させる。

「敵が、撤退していく?」

「策が破れた。数に圧倒されるだけ。やるな、敵の指揮官」

 ざざ。


 ノイズが交じる。


「ミナゴロシ」


 ざざ。

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一秒のノイズ 夕日ゆうや @PT03wing

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