白い少女

ツヨシ

第1話

ふぶかれた。

山登りの最中で。

これ以上雪が濃くなれば、視界が遮られてしまう。

――近くに山小屋があったな。

俺は急いだ。

それほど吹雪が強くなる前に、山小屋に着いた。

山小屋に入ると、先客がいた。

「やあ」

「どうも」

年齢は四十歳くらいだろうか。

背が高くて体格のいい男だ。

お互いに自己紹介し、軽い会話をかわす。

「ふぶいてきましたね」

「風が強いな。風はこのままだが、雪はそのうちやむさ」

「そうですか」

男は自信たっぷりに「雪はやむ」と言った。

ベテランの登山家のようだ。

俺は二十歳から初めてまだ四年目なのだが。

そのまま少しばかり会話したが、そのうちに途絶えた。

俺はもともとしゃべるのは得意ではない。

相手もそんな感じだ。

でも俺もそれを気にしてはいないが、相手も同様のようだ。

二人とも一人で雪山を登山していたのだ。

だれかとの楽しい会話なんか、はなから期待してはいない。

狭い山小屋で、男二人。

ほぼ会話はない。

そのうちに外が暗くなってきた。

食事をし、その時だけ少し会話をしたが、また途絶えた。

しばらくして男が言った。

「そろそろ寝るか」

「そうですね」

寝た。


起きると外はもう明るくなっていた。

支度を整える。

男も同じだ。

俺が先に山小屋の戸を開けた。

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