第7話

顔の内側から火が付いたように、熱くなる。それとは真逆に手足が冷たくなり、唇がわなわなと震えた。




……やられた!




いや、彼の言うとおり墓穴を掘ったのはわたしだ。




「あ、あのぅ」




どう誤魔化そうかと思案しながら女性の方へ視線を向けると、片方の彼女がスマホを見て大きな声を上げた。




「あ~やっぱり、ありんちゃんじゃん!ほら!ヒロトくんのTwitter急上昇してるっ!」


「急上昇?」




何それ?あぁ!機械に疎すぎて全然分からない。

分からないけど、早くもネットで情報が流れていることだけは分かるっ!!




「拡散希望だって!現場に居合わせるなんてラッキー!写真撮っても良いですか?」


「うん、良いよー、どうせなら4人で撮る?」




ヒロトは立ち上がり、女性たちにニッコリと微笑み掛けた。

彼女たちの顔がほんのりと紅潮する。



むかつく!何げに好感度上げてんじゃないよ。




「良いわけないでしょ!つ、月島ヒロト!覚えておきなさいよっ!」




指を突きつけピシャリと言い放つ。

唖然とした表情でこちらを見る女性の間をすり抜けて店を出た。



とにかくこの場所から離れたい!

事務所に戻って、社長に報告……、あと、ヒロトの事務所も訴えてやる!



サングラスを掛け足早に歩き始めたところで、次の悲劇がわたしを待っていた。





「あ!居た!やっぱりこの店だ!ありんちゃん~、彼はまだ店の中なの?」




げっ!月桂社の記者!

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