第9話
だいたい"美容師"なんて職に就くぐらいだから、それなりにお洒落で容姿にも気を遣っている男ばかり。
"雰囲気美人"なんて言葉があるように、"雰囲気イケメン"っていうのもあると思う。
着飾ってスマートに決めている時点で、2割増し。話し上手、気遣い上手で4割増し。
色眼鏡を外せば、それほどでもない。
みんながキャーキャー言うほどのイケメンが、この美容室ANYMOREに居るか?って、言いたいところだけど……、
「わ、来た!波琉(ハル)先輩だよ!」
小声でモジモジしながら実南が言う。
「やっばーい、今日も爽やかイケメンっ!!」
その隣の子が鼻息荒く喋るすぐ傍を、爽やかな装いで現れた波琉先輩が笑顔を零した。
「「「「おはようございます!!」」」
悲鳴にも似た黄色い声で挨拶をする女子たちに、先輩は得意技のキラースマイル。
「おはよう」
顎付近まで伸びた黒い髪を片サイドだけ耳に掛け、男らしくも中性的でもある綺麗で整った顔を武器に、殺傷力が半端ないと言われる笑顔まで上乗せして攻撃。
当然、その笑顔を向けられた女の子たちは……。
「ぎゃっ、眩しい!!」
メロメロになるんだ。
わたしはならないけど。
「おはようございます」
「おはよ、詩乃。何?その仏頂面」
何?って、別に何も……そう答えようとしたけれど、先輩はクスクスと笑いながらわたしの頭に手を乗せて通り過ぎて行った。
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