第4話

乱れた白いシーツ上に曝け出す裸体を隠すことなく煙草をくゆらせる彼は、けたたましく鳴り出した電話に舌打ちをした。




「もしもし?」




表情とは裏腹に優しい声。




「……あぁ、急な仕事が入ってね。ん?平気だよ、1時間後くらいにはそっちに着くよ……あぁ、……うん」




彼は電話の相手に相槌を打ちながらも、わたしに手を伸ばし火照りが落ち着いたばかりの肌の上をなぞっていく。




「クス、分かっているって。可愛い奴だな……愛してるよ?」




甘い甘い声で囁く。

その声からは想像も付かないほどの冷たい瞳で。




……ッチ。




電話を切った彼は先程と同じように舌打ちをし、わたしの上に覆いかぶさってきた。




「帰らないといけないんじゃないの?待ってるんでしょ?可愛い婚約者が」


「ふ、どこが可愛いんだよ。鬱陶しいだけの女だ」




わたしの体を知り尽くした彼の指が再び熱を与えてると、1度火照った体はいとも簡単にその熱に溶かされていった。




「最低ね」




ニヤリ、彼が口角をあげる。




……こんな男に惚れている。



わたし自身がどうしようもなく、最低だ。

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