第20話 最後のコンクールは『トッカータとフーガ』

 まあ吹奏楽部員なのにあまりそのこと自体の話書いてないんだけど、そのひとつの要因として、中3、つまり最後のコンクールの時、普門館のステージでユーフォ持って課題曲『フェリスタス(作曲青木進)』と自由曲『トッカータとフーガニ短調 (作曲バッハ)』を吹いたんすけど、これもうはっきり覚えてるんだけど自分じゃ全然ダメだったんすよねえ。まあ「銀」だったんかな。自分がいた3年間のTD中の吹奏楽部って箸にも棒にもかからずってレベルじゃなく、さすがに「全国」大会は遠いにしても「都」のなかでのいまでいう「ダメ金」ってやつですかね、それくらいはまあいけるんじゃないの、って感じだったと思う。確か。すいませんほんとコピーバンドの方の記憶が強いのであれなんすけど、まあまあな感じだったですよとにかく。

なのでちょっとその中3の時のは、全体の結果もそうだし、自分もあまり上手いこと吹けてないのはっきり覚えてるんで、あんまり積極的に思い出したくはない、ってのあるわけです。


 ってことで、そのコンクールうんぬんは置いといて、吹奏楽部の「コピーバンド大会」以外の「日常」の暮らしぶりですけど、なんだか何度も「コピーバンドで遊び倒した」件ばかり書きましたけど、それはそれとして、全体に上下関係もそんなにうるさくない軍隊風なところ少ない部だったけど、ルーティーンの基礎練習みたいなやつは、ごく普通にやってましたわな。腹筋きたえるために体操着になって走るとかもあったし。譜面をさらうパート練習みたいなのとは別に、当時としてはかなり高価な大きな電光掲示型のメトロノームに合わせてロングトーンと音符刻むタンギングと、とかそういうのを、腰だけ床に着けて楽器持って両足揃えて30度くらいアゲてつま先は天井に向けた姿勢でやる、とか。


 こういうあれこれを意外にも真面目にほぼ休まず毎日やってましたねえ。よくやりましたねえ。ま、吹奏楽部員だとこんなの当たり前なんでしょうし。で、ですよ、これは1970年代最終盤だからこの程度で済むんであって、今現在はステージ上でやることが多種多様なのでそりゃもう大騒ぎなんでしょうねえ。自分らはほんとうに「演奏」のみでしたから。最終目標の設定が。踊りとか、MCとか、寸劇とか、接客とか、眼中になかったですもんねえ。全体の「演出」とかね。今時ってこの「全体の演出」が舞台まわりのみの話だけじゃなくて、会場の出入り口での顧客出迎え見送り、とかそういうのも全部込み込みでしょ。ホスピタリティーマインドとかまで頭にいれてるでしょ。もうね、ぶっちゃけおじさんついていけないっすわ。ははは。ほんとびっくりしますわ。何度も言うように、そこまで追求してなかったから「コピーバンド」でも遊んでられたんだろうな、とつくづく思いますわ。


 で、今時は『響けユーフォニアム』ってなコンテンツもあるし、というかもうかなり昔だけど、自分が中学の頃に比べると「新しい」、イギリス映画『ブラス!』とか、あとジャンルちょいズレるけど邦画の『スイング・ガールズ』とか、小説じゃ津原泰水の『ブラバン』もあるし、自分が大人になって以降なんだかこうずっと脚光浴び続けてる感じありますわな。吹奏楽。というか吹奏楽部。でいまサクッとあげつらった各種コンテンツのうちユーフォとブラバンはまだ全然確認してないっす。つまり新しい方のをまだ未確認なんすねえ。恐れ入ります。それらを見たり読んだりしたらいまこうして書いてる行為のあれやこれやの流れも変わってたのかもしれんけど、それはそれ、ですねえ。人それぞれの吹奏楽部体験ですよねえ、みたいな。


 で、だいぶ前のほうでユーフォってのはほぼ旋律ばかり、って書きましたけどね、そのおかげでスーザの有名な行進曲ってのは大概頭から仕舞いまで主旋律、鼻歌で歌いとおせますからね。『星条旗よ永遠なれ』とか『ワシントン・ポスト』とか『美中の美』とかそういうやつ。


 ここから先は内輪の「あるある」系になりますけど、ユーフォで吹いてて楽しい旋律といえば『バンドのための民話(作曲ジム・アンディ・コーディル)』ですかねえ。まあ業界人ならだれでも知ってる「有名曲」ってやつですね。


 前述の中3の時の課題曲の『フェリスタス』もなかなか根強い人気あるようですね。そうそうコンクールの時そっちは問題なかったんすけどね。個人的には。トッカータとフーガがねえ。ま、いいやそれは。


 業界内でのユーフォ有名曲っていうとホルストの第2組曲ですか。ただまあこれ自分は部にいたときやったことないっす。第1の方はやったんすけどね。てか第1のユーフォパートも充分楽しいですけどね。


 てかまあ自分思うに全ユーフォ通史で考えてやっぱこれだよな、ってのは『火星』のあれっすよね。ホルストの『惑星』のなかの。残念ながらこれも吹いたことないですけど、ユーフォどうこう吹奏楽どうこう関係なく、『火星』自体、オーケストラ曲として最上級に好きな部類っすねえ。


 あとユーフォソロっていうと中1の時のこれまた人気課題曲『ディスコ・キッド(作曲東海林修)』の終わりの方にガッツリ出てきますけど、これ1年坊主で先輩の吹く様子を舞台袖で眺めてた記憶はありますねえ。見上げる背の高さの女性の先輩でしたからねえ。「せ、せんぱい……」みたいな淡い思い出みたいなのありますね。はいもうキッチリカッチリ吹ききっておられましたよ。


 で舞台でやるとかどうとか関係なく、各楽器にいろいろな「練習本」みたいなのあるわけで、ピアノでいうところの「ハノン」みたいなスケール集みたいなのもそれはそれとして、いろんなメロディー集めたような楽しい練習本も吹きまくりましたね。譜面見ながら。ユーフォってのはこういう時がいちばん楽しいでしょうね。もしかするとね。何しろメロディー吹きやすいように特化して作ってあるような楽器ですからね。


 こういうメロディー集で吹いて楽しかったのは「韃靼人の踊り」とかですかねえ。

なんか言い出しておいてその他の曲思い浮かんでこないなあ。ははは。まあクラシックの有名旋律ですよ。要は。というかボレロとか春の祭典のド頭とかは譜面無しで勝手に吹いて遊んでたりもしたかな。ま、そういうのも楽しいってことでね。


 なんにせよ、野球部の「体育会」ノリが嫌で3日でやめて、こっちにきて結果3年続いたんすけど、意外にちゃんとした組織でしたねえ。いま書きながら思い出してるんすけど。ははは。


 なにせ大人になってからは長年ピアノ弾き語り自作自演ソロ活動とかいう、「組織」とは無縁の動きばかりやってたもので、ついついこういう集団行動の記憶薄れがちなんすけど、まあけっこうガッツリやってたってことです。そっちも。


 結局高校も吹奏楽の「同好会」で、大学はビッグバンドでしたから、全然「一匹狼」じゃないっていうね。ははは。


 今はなんだかんだでオリジナル曲をやる男女ユニットのみの活動なんすけど、それもまあ基本「シンガーソングライター」2名でやってます、ってことなので、この小説内で何度も言及してる「ニューミュージック」系ミュージシャンみたいな範疇のことを目指す人生を歩んでいるのである、と。


 で、それは一直線にそうなったわけでもなく、中学でユーフォやってた頃はだんだんとジャズ方向に目が行くようになって、で大学のビッグバンドの一員になった時にはトロンボーンに変えてましたからね。楽器。


 そのトロンボーンに持ち替えた時なんかは、楽器でジャズマンになるんだっ!とか思ってた感じでした。「歌もの自作自演路線」じゃなく。


 で、いろいろやって、あれこれあって就職、結婚もして、っていう流れで、また厨房時代の「ギター&ピアノで遊んでた頃」に回帰して、自作自演路線になった、と。


 そのようにいろいろ試行錯誤していたってことですね。


































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