第3話 チプカシ
チプカシなる言葉をご存じだろうか?
チープなカシオ製の腕時計の略称だそうで、沢山の愛好家がいるらしい。
私は仕事の関係で腕時計をしない生活を長く続けてきて、まともな腕時計を一本も持っていなかった。
唯一持っていた、激安のデジタル時計もソーラー発電なので電池は切れていないのだが、ベルトが切れたまま放置していた。
元々、量販店や時計屋のショーウインドで時計を眺めるのは好きだったが、高価な腕時計をしたいという欲が無い。
それでも、いい年こいたオッサンが、ちゃんとした腕時計の一つも持っていないとマズいだろうと思い、先日ちょっと奮発してセイコーの時計を購入してみた。
まぁ、世間一般からする安い部類に入るのだろうが、チタンケースのソーラー発電で、私の価値観からすると、ちょっとお高い。
工具を買って、自分でベルトを調整して嵌めてみると、これがなかなか悪くない……というか良い。
やはり、それなりの値段の時計は良いものだと再認識した感じだ。
ただ、キチンとした席にしていける物と思って選んだので、シルバーのケースに黒の文字盤、シルバーの針という感じで遊び心が足りない。
遊びに行く時にするには、ちょっと物足りない感じがしたのだ。
そこで、安くて面白味のある時計は無いだろうかと思って探しているうちに、チプカシなる言葉に出会った。
値段は安いが、値段の割には高く見える……ホントかね。
というわけで、試しに一本買ってみた。
ネット通販で送料込み2720円、真鍮クロームメッキのシルバーのケース、濃いブルーの文字盤、ブロンズの針と文字、ライトブラウンのベルト。
ネットの写真では、それなりに高級そうには見えるが、果たして実物は……。
悪くない、高級な時計と縁の無かった私には、十分なクオリティだ。
ただし、フェイクレザーのベルトは安っぽい。
チプカシの良いところは、本体の値段が安いので、違うタイプの時計を気軽に購入できて、気分に合わせて変えられる。
ベルトを良いものに変えると、見違えるように高そうに見えるらしい。
裏ブタをパカっと外すと、簡単に電池交換が出来るらしい。
なるほど、それならば本革製のベルトを頼んでみるか……。
おっ、こっちのダイバー風の赤い文字盤のも良さげじゃん……。
こっちの替えベルトも買ってみるか……。
チプカシは、手軽だけに沼に嵌まりやすいそうだ……ご注意を。
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