萩原慎一郎さんの歌集・滑走路をAmazonで購入しました。 【※この文は過去の俺が書いたエッセイを、今の俺が大きく修正を加えたものです】
【本編】この文は過去の自分と今の自分が入り混じっています。今は明るい気持ちしかないです
萩原慎一郎さんの歌集・滑走路をAmazonで購入しました。 【※この文は過去の俺が書いたエッセイを、今の俺が大きく修正を加えたものです】
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【本編】この文は過去の自分と今の自分が入り混じっています。今は明るい気持ちしかないです
タイトルにもあるように、萩原慎一郎さんの歌集・「滑走路」を先日Amazonで購入した。カクヨムという小説投稿サイトで活動している詩歩子さんという作家仲間のユーザーさんがXで紹介していたのを見て、とても興味が出て、前々から読んでみたいと思っていた。
詩歩子さんが「これみんなにおすすめだよー」と思って勧めてくれた作品の中で、今まで俺が読んでつまらなかった作品は一つもなかった。本当にどれも超面白かったのだ。面白いと言っても、インタレスティング的な意味での面白さです。
詩歩子さん曰く、俺のエッセイを読むと萩原慎一郎さんを思い出すのだとか。ちなみに、萩原慎一郎さんは亡くなってから作品が売れた方だ。そこが自分の中でどうしても悲しく思ってしまう。生きている間に作品が人気になった事を本人が知る事が出来たとしたら……と思わざるを得ない。邪推だとしたらかなり申し訳ないが、過去の野球部でのいじめの経験から精神的に病んでいた彼は、自分が世の中に出るというとても大きなプレッシャーに押し潰されてしまいそうになり、自信を喪失してしまったのかもしれない。
あ、自分も高校の途中までずっと野球部でした。途中で退部しました。
心の闇の深さは本人にしか分かりません。大切な人には絶対に自分の気持ちを伝えることができない人もたくさんいます。
なんか他人の気持ちは自分には理解できない不可侵な領域だと思ってるので、本当にただの想像しかできません。本人の気持ちが自分に分かるだなんて思いません。それはかなり失礼にあたる。
でも詩歩子さんの言うように、もしも自分が萩原さんと似ている人物なのであれば、もし自分の創作物が世の中に出版されると分かったら、死ぬほど嬉しい反面、とても大きい不安に駆られてしまうと思う。
実は自分も小学生から高校の途中まで野球部だった。高校からは、同級生や先輩から特別厳しい扱いを受けていた。いじめだったのかもしれない。よくわからない。「日本一暗い高校球児だなお前」なんて言われたりした。「死ね」とも毎日言われた。萩原さんのWikipediaを見ると、実は彼も俺と同じような野球部時代を過ごしていた事を知り、親近感が湧いた。
あ、ちなみに自分は人が自死する事を「罪」だとは全く思っていない。自分も自殺未遂の経験は何度もある。その中でたまたま全て成功しなかったから今も生きているだけの存在にすぎない。
実は俺は、俺の親友に近い友人を自死で失った事がある。
その人に対して、俺の中では、【世界最強の敵と最期まで戦い続けた英雄】だと本気で思っている。
だからむしろ尊敬している。
まあ、そう言い聞かせている。本当は死んでほしくなかったし、幸せになってほしかった。だけど事実として俺の親友は亡くなった。
自殺、というフレーズがそもそも間違っている。おそらく、萩原さんも俺の親友も、大きな心の闇、というか病に殺害されてしまったのだと思う。
だから、「自殺」というよりも「病死」が正しい。
時々、有名人が自らの手で亡くなることがある。その度にテレビでは通例的に「いのちの電話」的な電話番号が表示される。個人的に「そんな簡単に人の命が救えるわけがないだろう。だったらどうして俺はあんなに好きだった友人を失ったんだよ」と思って、違和感を覚えてしまう。俺が捻くれているだけかもしれない。
でも明らかに世の中の認識が狂っている。
そこに一石を投じてくれたのが、滑走路だ。
俺も、命を賭けて世の中に出してくれた彼の作品に勇気を貰いつつ、今から滑走路から旅立つ。それが希望か絶望かは分からないが。
とりあえず今の自分には希望しか見えていない。羽が無くても飛んでいく。
◆
俺の場合、心の中にとても熱い正義感の気持ちと、全てを諦めた冷たい気持ちの二面性が常に同時に存在している。28歳の今もそうだ。すぐに不安になってしまう。
萩原さんがどうだったのかは、わからないが、滑走路を読んでいると、とても優しい人柄だった事はかなり伝わる。
そして表紙が美しい。実はこれも萩原さん本人が決めたものらしい。構成も自身で決めたそうだ。
個人的に良いなと思うのは、普通だったら「滑走路」というタイトルにするならば、飛行機が飛び立つ映像を思い浮かべる人が多いかもしれない。だけど、この本の表紙は、本当にただの滑走路と綺麗な空が写っているだけだ。深淵に近いような孤独を感じた。あ、俺個人の感想。
滑走路を使って今から空に飛び立つんだけど、肝心の飛行機が見当たらない。人の存在も見当たらない。ただ本当に美しい空と、滑走路だけがある。
そんな美しくも切ない表紙をAmazonで見ただけで、すぐに買ってしまうような魅力がある。
作者さんは亡くなっているとしても、作品だけは多くの人の心に永遠に残り続ける。それどころか、時間が経てば経つほど孤独な人々の心を照らす存在になり得る。彼にはそんな優しい素敵な魅力がある。
既に書いたが、正直、俺も大切な友達を自死によって失った事がある。痛みは今も癒えない。だが、なぜか俺がいつも自然と思い返すのは、「暖かくて嬉しかった思い出ばかり」だ。
もちろん後悔は常にある。もっと自分があの人に親身になれていたら、あの人は今も生きていたかもしれない、という後悔はとても強い。
だけど、後悔以上に、その友達への感謝や、出逢えた運命への喜びの方が遥かに大きい。
◆
ちょっと長くてすいません。もう少し続ける。
萩原慎一郎さんは、孤独な人々の闇を照らす光のような存在だ。だが、ライブハウスのように人工的な強烈なスポットライトではなく、夜が明けてだんだんと太陽が登ってくるような、そんな穏やかで優しい光に近いと思う。それは生まれ持った天性の才能だ。
萩原慎一郎さんは32歳という若さで夭折している。ちなみにとても優しい顔をしている。
優しい人が苦しむこの世界は明らかに頭がおかしい。もしかしたらこの世の中は、正常な人ほど傷付く世界なのかもしれない。
この文を書くにあたりWikipediaを改めて読む中で、彼と自分との最大の共通点に気付いた。それは野球部で激しいいじめに遭っていた、という点かもしれない。
俺は生まれつき自閉スペクトラム症(asd)という発達障害もあって超おとなしい性格だったが、友達に誘われて始めた野球が大好きだった。今も大好きだ。ただ野球が大好きな一心で、本当は体育会系とは真逆の性格なのに、高校でも無理して野球を続けた。俺の親は優しくて、「●●がやりたい事をやってほしい」とだけ言ってくれた。本当はずっと辛かったが、家族などの大切な人にだけは、どうしても自分の苦しみを全て覆い隠してしまった。少なくとも俺は、大切な人を死ぬまで大切にしたいだけだった。
◆
あと個人的に、本は中古じゃなくて、いつも新品で買いたい気持ちがある。その理由は単純で、中古で購入すると作者さん側に印税が入らないからだ。
作者が命を賭けてまで出版したかった作品だ。中古で買うなんて選択肢は無かった。
性別は違うが、自分は南條あやさんという人も好きだ。10代の精神を病んでいる女性の赤裸々かつ、とても優しい気持ちばかりが綴られている。
そういう意味では、萩原慎一郎さんと南條あやさんは、俺の中では同じカテゴリーの作家さんに位置している。
萩原慎一郎「滑走路」
南條あや「卒業式まで死にません」
この2冊の本は俺の中ではかなり特別な本だ。ふたりの気持ちが痛いほど分かるからだ。
本当は本人に感謝の気持ちを直接伝えたい。だけど、2人とも既に亡くなっている。
だけど俺はまだ生きている。まだ28歳だ。未来は明るい。死ぬ予定は全く無い。いつか俺も一冊の本になって人を救いたい。
そして一人ぼっちで泣いている全ての優しい人を俺が救いたい。笑わせまくってみたい。
そんな、実現不可能かもしれない、ありえない理想だけが今の俺を突き動かしている。
世の中、捨てたもんじゃない。命を賭けて自分の内面に向き合った人のお陰で、俺はかなり強くなれた。
俺は諦めない。
実は、何年もアパートにお守りの如く保管していた「首吊りのためのロープ」は先日「燃えるゴミ」としてゴミ捨て場にあっさり捨てた。
「俺は決して燃えるゴミなんかじゃない。人間だ」という事に、やっと気付けたからだ。
そこに至るまでには本当に28年の人生で色々あったが、ここでは不要なので省く。
終わり
【あとがき】
すいません。ちょっとだけ酒の力を借りました。
【追記】
萩原さんの実の弟さんがXで拡散してくださった。ありがとうございます!
萩原慎一郎さんの歌集・滑走路をAmazonで購入しました。 【※この文は過去の俺が書いたエッセイを、今の俺が大きく修正を加えたものです】 Unknown @ots16g
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