シ:AH of M

島流し

第1話全ては

P「この問題わかる人」

教室に緊張が漂う中、Pが黒板に大きな三角形を描き、皆の視線がその図形に注がれる。数秒の沈黙を破るように、一人の少年が手を挙げた。


ブラント「はい!その斜辺は5です!」

はきはきと答えるブラント。その声は自信に満ちており、教室内の他の生徒たちから自然と拍手が湧き起こった。


P「さすがブラントです」

Pが微笑みながらうなずいた。今日の授業は彼の一言で締めくくられた。

P「今日の教えはここまでです」


――教室の外――

廊下に出ると、オートがブラントに声をかける。


オート「なあ、なんで斜辺が5ってわかったんだ?」

ブラントは少し考えるそぶりを見せてから答えた。

ブラント「あぁ、P様が考えられた定理に関する本を見てね」

オート「俺も見てみようかな」

ブラント「よければ貸すよ」

オート「それはありがたい」



翌日――教室にて

P「万物は数です、つまり数で表せないものはありません」

Pが堂々とした口調で語り、黒板いっぱいに数式を書き込む。生徒たちはその熱弁に圧倒されつつ、ペンを走らせる音だけが響いていた。


――休憩時間――

オート「なぁ、昨日借りた本だけどよ、わからないことがあるんだ」

ブラント「なんだい?」

オート「斜辺が2cmの表し方がわからないんだ」

オートは困った顔をしながら、借りた本を広げる。ブラントはそれを覗き込みながら、しばらく考え込んだ。


ブラント「あぁ、それなら…?」

その言葉は途中で途切れた。


オート「どうした、思考停止して」

ブラントは眉をひそめながら、小さく息をついた。

ブラント「…すまない、わからない」


その答えを聞いたオートは、わずかに目を見開いて驚いた表情を浮かべた。

オート「ブラントでもわからないのか。この問題はいわゆる解なしか」


ブラント「…あぁ、そうだね」

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シ:AH of M 島流し @tubasa41

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