お礼

第17話

日曜日の朝




「よし、上手く出来た」




ナナは電子レンジの前でニッコリと微笑む。




「……美味そうな匂いがする」



「おはよー。って、まだ居たんかい」



「あ"?俺が居たら何かマズいことでも?」



「何故そうなる」




その通りだが。



そう思いながら電子レンジからクッキーを取り出すナナを後ろから抱き締めるロク。




「誰にあげるんだろうな?その大量のクッキー」



「……」




面倒……。


ナナは心底そう思った。



こうなったロクは限りなく面倒くさいのだ。



今日の目的がバレてはマズいナナは、またまたニッコリとロクに向かって微笑む。



そして……背伸びをし、チュッとロクの唇にキスをする。



「もちろん、これからバイトに行くお兄ちゃんにですよ」



「……バイト」




グイッとナナの顎を持ち上げ、もう一度キスをしようとしたロクの表情が歪む。




「忘れとったんかい」



「……何時からだっけ?」



「10時」



「うぉっ……。もうそんなに時間ないじゃん。……休んでいい?」



「ダメ」




生活費を自分達のバイト代から出してる二人。



バイトを休めば、その分どこかに皺寄せがいくことになるから、よっぽどの用事と病気以外休むのはなしだった。




「ほら、クッキー包んであげるから。持っていって食べて」



「……わかったよ」




ロクにバレないように息をつくナナ。



ホッとしたのも束の間




「……」




グイッ!!




「のっ!?」




ロクから離れようとしたところで、ナナは体の向きをグルッと変えさせられ……











噛みつくようなキスをされる。




「んっっ」



「……可愛い俺の妹」




離れる時にそう言い、今度は触れるだけのキスをして、ロクはご機嫌で服を着替えるために部屋へと戻っていった。




「……エネルギー吸われた」




ロクとは反対に不機嫌になったナナは、クッキーを4つの袋に分けて入れた。




もちろん、ロクのは……少な目に




「うぉおいっ」



「……」

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