第71話

「伊藤一華!!」




「……」




ゴッ!!




「……ごめん…なさ」




ゴッ!!



あたしはただひたすらに男を殴り続ける。



衝動のままに。


思いのままに。



だって赦せないんだもの。



良いよね?




ゴッ!!




「もう止めろ!!殺す気か!?」




腕を掴まれる。




「離せ」




手を振り払おうとするもキツく掴まれた手は離れない。




「離せ」



「止めろ。もう十分だろ」



「十分?そんな訳ないじゃない。“黒豹”に手を出そうとしたのよ?」




あたしは自分の手を掴んでいる狐面の少年を見る。


目があった。


綺麗な黒い瞳。



それでも衝動は治まらない。



逆の手で殴ろうとするとそれも掴まれる。




「止めろっ」




なら




ゴッ!!



男の顔面に頭突きをする。




「伊藤一華!!」



「うるさい、邪魔をするな」



「チッ!!」




狐面が舌打ちをする。



けれど、そんなの関係ない。



あたしは……



「許せよ!!」



掴んでいた手が離され、狐面が殴りかかってくる。



それでもあたしは男を殴りつけるために拳を振り上げた。



殴られるのなんてどうってことない。



“黒豹”を貶めるコイツらを完膚なきまでに、もう二度と“黒豹”に手を出さないようにするために、潰せるなら。



殴られるぐらい。




ヒュッ!!



拳が空を切る。




「止めろ!!」




あたしを殴る拳が既の所で止められた。



あたしはその間も男を殴る。




「真木ハイド!!」



「何、俺の大事な奴を殴ろうとしてんだ、テメェ!!」



「この状況を見ろ!!伊藤一華が止まらない!!男を殺すぞ!?」



「俺が止める。お前は黙って見てろ」



「……」



「一華」



「ハイド……。コイツら」



「ああ、わかってる。だがな一華」



「止めないで」




ハイドでも止めるのは許さないよ。



また拳を上げたその時……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る