第23話

「ハイドッ、ハイドッ」



「あ?」




無事に家に帰って、ホッとしたところで八千流がハイドを呼ぶ。



るなは自分の家に帰した。



いつもなら嫌がるのに、大人しく言うことを聞いたのはよっぽど怖い目にあったのか。



それは今日、学校で聞くとして。




「八千、お腹が空きました!」




真夜中だというのに元気な八千流が挙手する。




「で?」




さすが弟。


姉の突発的な言動にも全く動じない。




「ラーメン!!ラーメンが食べたいです!!」




真夜中にまた、重たいものを……。



だけど。




「あー?太るぞ」




おぐぅ……。  


だよね……。



あたしもお腹空いたけど…。


ラーメン、食べたくなったけど…。




「大丈夫!!運動したから!!」




……それは、まだ聞いてないけど、るなを見つけた時に何かあったということかな?




キラキラと猫瞳を輝かせて、挙手していた手をグッと握る八千流。



もうこれは退かないな。


決定事項だ。



ハイドもわかっているので、ハァアアア……とデッカい溜め息をついた。




が、この家にはカップラーメンなる物も、袋ラーメンなる物もないぞ?



何処かに食べに行くのか?



と、八千流を見ると、ニッコリと可愛く笑い




「買ってある!!」




ジャジャーンッとお腹から袋ラーメンを取り出したではないか。



どこから出してるんだ。


てか




「「いつの間に……」」




ハイドと共に呟く。


本当にいつの間に。




「わーかったよ」




そう言うと、ハイドはあたしの前に立ち




「半分貰え」




ポンッとあたしの頭を叩いて、八千流から袋ラーメンを受け取るとキッチンへ。




「もちろん」




ハイドの言葉に八千流が頷く。



最初からあたしと半分にしてくれるんだったんだと、その即答でわかった。




「ありがとう、八千流」



「太る時は一緒よ」



「だね……。でもハイドは?」



「俺はコーヒー」




自分は食べないのに、作ってくれるのか。



どこまでも優しい甥っ子だ。

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