ストレートに登場人物の気持ちを表出できるところが、著者様の魅力の一つだと常々思っておりました。が。この作品はむしろ逆、と言えるかもしれません。文字数が大変少ないこともありますが、今作については『帰結』や『メッセージ』というものがないのです。時間が経てば乗り越えられるとか、当たって砕けろとか、そんな古風な言葉でどうにかなるお話ではないのです。今作につづられているのは、著者様のお気持ち、それ以上でもそれ以下でもない、故に刺さりくる文学作品なのです。まったく、世の中ままならないものです……。
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