第7話

都内でスーツを着てちゃんと仕事をしている感じの大人に、自分がただコンビニに働いていることを告げるのがなんとなく恥ずかしかった。



やっぱりこういう人は頭いいんだろうなとぼんやり思う。


自分がスーツを着て満員電車に乗って出勤して、同僚と話したり会議をしたり、デスクに大量の書類が積まれたり、出張に行ったりなんて想像出来ないし、出来る気もしない。



ふ、と相手の革靴と自分の汚いスニーカーを比べて息を吐いた。



「お兄さんは、何の仕事してるんですか」


「普通のサラリーマン。ていうか、お兄さんってやめてよ」



だっておじさんって感じでもない。



困って、じゃあ、を頭を下げて踵を返そうとすると、

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