第24話
「学費もあんじゃん。免許取る余裕あんの?」
「学費はね、生活費とかもあってそこまで稼げないから奨学金貰ってるんだよ」
「へえ……」
蛍は何でもないことのように言った。
この人が、なんだか当たり前のように一人で生きていることに気付いた。
普通、大学生って親のすねかじる年じゃないのか。
それなのに蛍という義理の姉は、学費も生活費も、車の免許代もレンタルする金さえ、自分に賄ってしまっている。
ものすごく年が離れているわけではないのに、自立している蛍はなんだかちゃんとした大人のようだった。
「眞夏」
思考に沈んでいると、いつの間にか目的についたらしく、駐車し終わった蛍に声をかけたれた。
「ごめん。制服のまんま連れてきちゃったけど、大丈夫?寄り道とか校則違反だった?」
「べつに平気だけど」
心配そうな声にそう返すと、安心したように息をついた。
▽
「結局何買いに来たんですか」
「眞夏用のスプーン」
「は?」
なに言ってんだあんたと声を上げたが、義姉はいたって真剣らしい。真顔で「あとお皿とお椀とお茶碗も」と付け足される。
……は?
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