第16話
キャベツの千切りを山盛りにして、そこにトマトやツナをのせる。鍋の中身が炒められたところで、カレー粉を入れて、軽く菜箸でかき混ぜると台所に平和な匂いが広がった。
「出来た?」
ひょいと顔を覗かせた義弟に、根は素直な子なんじゃないかと思わせた。
「まなつくん、これにお米よそってきて」
「これは?」
「あ、運んでいーよ」
お皿と一緒にサラダまで運んでくれた。すぐに戻ってきて、これでもかと盛られたお米に笑う。眞夏もすこし笑った。
「なにそのカレー。キーマカレーって初めて見た」
「おいしいよ、たぶん。……はい」
「おー」
そろそろと零れ落ちないように注いで、スプーンを渡す。コンビニで貰ってきたものなので、プラスチック。「さんきゅ、」と小さくお礼を言ったあと、眞夏は少し眉を寄せた。
「なあ、それいちいち用意すんの大変じゃねえの?」
「え?なにが?」
「スプーンとか、割り箸とか。コンビニあんたそんな行かねえだろ」
「ああ。違う違う、それバイト先のやつ。店長に下さいって言ったらくれたから、大丈夫だよ、気にしなくて」
「……ふうん」
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