第13話
「さっちゃんのほうが綺麗だよ」
「またそういうことを…」
「私のあこがれだよ。綺麗でやさしくて大好き。」
「……本当タラシだな」
呆れた顔をしているけど、少し赤くなっている。かわいい。さっちゃんは、かっこいい男のひとだけど、本当に可愛らしい女のひとでもある。
さっちゃんが編入して間もない頃、ひとりで講義を受けている私の横に座ったときから、なんか可愛い人だなぁと思っていた。綺麗に整えられた爪、手から仄かに香る甘い匂い、綺麗に染めてある金髪。喋るうちに、さっちゃんと呼ぶようになって、敬語も外れて、彼の女の子になりたいという欲求を理解するのにそう時間はかからず。
「あ、じゃあこれ」
さっちゃんはそう言いながらさっきのサンプルを渡してくれた。
「え、いいの?」
「弟によろしくね。俺もう帰るから」
「ありがとう。今度お礼するね」
「いーって」
ばいばい、と手を振る友人に手を振り返した。
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