第6話 静かな週末、学の再起動

 学は、今日の作業を終えると、皆に「お疲れさま」と言って、自宅のアパートへ帰った。週末の連休が、始まり、少しペースを落として休めそうだった。

 土曜日の朝、学はかつて記録していた金銭帳を、最近つけていなかったことに気づいた。

 学は、棚にある貯金通帳を引き出し、詳しく調べた。


 その結果、膨大な使途不明金が発生していた。やはり、金銭帳はつけるべきだと、痛感し、スマホに家計簿アプリをダウンロードし、出金の記録を付ける事にした。

 

 学には、人生を支える資金がある。それは、予期せぬ事態が起きた際に使うものだが、簡単に手をつけるわけにはいかない。この資金があることで心の安定がたもたれているが、一方で、詐欺さぎなどによる喪失そうしつのリスクも抱えている。


 しかし、学は思う。お金よりも重要なのは、自分が何をしたいのかということだ。何をするかは、自分自身が決めるべきであり、お金とは、その行動の影響範囲を決定するための手段に過ぎない。何もしたくなければ、お金は不要なのだ。


 お金そのものに意思はない。

 その使い方次第しだいで、良いものにも悪いものにもなる。だからこそ、自分が何をしたいのかを真剣に考え、それと向き合うことが大切だ。


 学は金銭帳を付けると、今度は簡単な手製の日誌をつけた。これは、毎日続けていて、体調の記録を残している。かれこれ二、三年は続いているだろうか…。その作業を終えると、シャワーを浴び、布団に入った。音楽を聴きながら、日曜にするべき準備を整えた。


 次の日の日曜日は、格安の店をめぐりながら買い物を楽しんだ。途中で本屋に立ち寄り、最新の本を探してみたが、特に目に留まるものはなかった。


  夕刻、炭酸ジュースを買い、帳簿と日誌をつけて、翌日の準備、を少し行った。すべてが終わると、炭酸ジュースを飲みながら布団に入り、ゆっくりとくつろいだ。

 学は思う。 ……明日は、月曜日だ……。 週末の休日を過ごし、すっかり元気を取り戻した学は、彼らとの再会を心待ちにしていた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る