学生トーク「帰る編」

山田 武

学生トーク「帰る編」



「──帰る、についてどう思う?」


「それ、漢字は?」


「帰宅するのヤツ、カタカナの『リ』にあとえっと……掃除に使うほうきの漢字の一部」


「余計分かりづらくなったけど、まあ何となく分かった」


 おそらく、『帚』と言いたかったのか。

 ポチポチスマホで調べてみれば、この字が出てきたので間違いない。


「で、帰るについてだったか……まあ、行った後の復路を使うことなんじゃないか?」


「?」


「なんで分からないんだよ、ほら駅伝をいつも正月にやってるだろう」


「ああ」


「アレは前半戦、行きのことを往路って言って、後半戦の帰りを復路って言うんだよ。これ二つを合わせて、行ったり来たりで往復って言うんだ」


「へー」


 反応が薄いが……まあ、わざわざ往復とかいうこともあんまり無いしな。


「深く考えようと思えば、まあそれなりに話せるとは思うぞ」


「と言うと?」


「基本的に行くのと帰るのはセットだ。ついでに言うと、帰るって字は基本的に人間に対して使うものだ。つまり、誰かにとっての何かの終わり、俺たちで言えば学校での一日の終わりが帰りってことになるんだ」


「たしかに、そう聞くと学校も壮大な旅みたいになるな!」


「……土日祝日を抜いて毎日やっているし、そこまでありがたみも無いけどな」


 ただいまと言うまでが遠足みたいなことを言うが、それと同じこと。

 その日をやり抜き、達成感に浸る……それが帰りなのかもしれないな。


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