②結末とテーマについて。

 二つめは、あの終わり方についてです。原作がそうなのだとは思うのですが……私にはどうもしっくりきませんでした。


 この作品が伝えたいことって、本当にそこだったの? と思ったのです。


 ネタバレになりますが、主人公コニーは、夫クリフォードと別れて(離婚には応じないと言ってましたが)、オリバーと最後に結ばれます。地主階級の地位を捨ててまで、一介の労働者であるオリバーとの愛をコニーは選んだのです。


 私が二十代の頃にこれを見ていれば、ひどい夫から逃れられて幸せになれて良かったね~!と思えたかもしれません。


 でも、今の私がこの結末を見ると、夫とうまくいかない一人の寂しい既婚女性が不倫に走って、他の男と結ばれる。という何ともチープな作品になってしまっている気がしたのです。何だかとっても残念な気持ちなのです。


 というのも、この映画を観た限りでは、夫クリフォードが不憫で憐れに思えてしまったからです。


 クリフォードは、戦争の後遺症で下半身麻痺となり、介助なしには生きていけない身体になってしまいました。


 最初は、そんなクリフォードをコニーが献身的に支えるのですが、クリフォードはコニーを自分に縛り、彼女から自由を奪ってしまいます。


 クリフォードは、確かに子供じみた言動をする、お坊ちゃんだなぁと思わせる部分があります。でも、彼がそうなってしまった背景も理由もわかるし、同情できる。


 だって、自分がもし下半身麻痺となってしまったら……やっぱり心も考え方も暗くなってしまうことでしょうからね。


 一度は愛した夫を、そう簡単に捨ててしまっていいのか、と私は思ったのです。


 もっと別の道があったのではないかと。クリフォードと別の道を選択することもできたのではないかと。


 コニーには、セックスを愛情と混同してしまう部分があるのです。というか、そう見えるように表現されています。コニーのお姉さんがそう指摘する台詞からそれがわかります。


 夫との性生活を望めなくなったコニーが、手近にいた男オリバーとくっついた、と見えなくもないのです。


 この物語の神髄には、愛とセックスはイコールなのか?


 セックスがない愛は、続かないのか?


 という深いテーマがあると私は感じました。


 これは全人類の子々孫々と伝えられるべきテーマではないでしょうか?!


 私としては、オリバーの子をクリフォードと一緒に育てるというストーリーもありなんじゃないかなと思ってしまったのです。


 オリバーは、いい男だけどww


 もしくは、養子をとって二人でプラトニックな愛を貫けばいいじゃないかと。


 だからこそ、不倫相手と最後に幸せになる結末が何となく納得いかなかったんですよね~。それじゃあ結局、作者は「セックス=愛」だって伝えたいのかな? 

 ……って、なるじゃないですか!?


 私、これと似たような作品で『マディソン郡の橋』というアメリカ映画を観たことがあります。これも不倫愛に走る女の物語ですね。


 でも、こっちは夫を選ぶのです。夫の最期を看取るシーンは、涙なくして語れません。私は、どちらかというと、こっちの方が好きです。


 まぁ何にせよ、原作を読んでいないので、やはりなんとも言えませんね。


 もしかしたら、クリフォードのコニーへの扱いは、映画のものよりもっと酷い扱いを受けていたのかもしれませんし……。


 これは是非とも原作を読んでみたいと思います。

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