君が希望をくれたから

oursky

君が希望をくれたから

君が希望をくれたから

僕は今日まで生きてこられました

本当はずっと君のそばにいたいけど

悲しむ君を見たくないから

君の前から姿を消すことにします


初めて出会った冷たい雨の日

独りで震えていた僕に

自分の傘を差し出して去っていった君


誰も信じられなくなっていた僕にとって

君は雨上がりの太陽みたいだった


知り合いが誰かと一緒にいるのを見る度に

ずっと独りでいいやと思っていたけれど

人の優しさを知って益々つらくなった


もう二度と会えないんだろうなと

傘ごしの空を見ながら諦めていた時


君は笑顔で戻ってきてくれた


君にそっくりな仲間を連れて


「一緒に行こう」と君が差し出してくれた手……

初めて触れた君の手の温もりを

僕は一生忘れない


それからの日々は幸せ過ぎて

幻なんじゃないかと何度も思った


こんな僕の事を肯定してくれて

毎日「大好き」と言ってくれて

僕といる時が一番安心すると言ってくれた時

一番なんて初めてで

涙が出る程、嬉しかった


君の隣で眠りにつく日々が

消えませんようにと何度も願ったし

僕と離れたくないと抱き締めてくれる時の

君の笑顔が大好きだった


君は「私より長生きしてね」と言ったけど

それは無理だよと伝えようと君の目を見た時……

僕がこの世から旅立つ姿を見たら

君は壊れてしまうかもと思った


そして、もしその時が来たら

君の元を去ろうと決めた


僕が突然いなくなっても

どこかで生きている可能性を残す事で

君の僅かな希望になれると思った


僕がいなくなったら

君は一人で泣くのかな


でもきっとまた会えるから泣かないで


僕は必ず君の子供に生まれ変わるから


それはもう決まっている事だと

夢の中である人が言っていた


最初は信じられなかったけど

何度も同じ夢を見るから信じる事にした


君にそっくりな大人が見えて

僕の事を「優希ゆうき」と呼んで

初めて会った日のように抱き上げてくれる夢……


僕の名前はクロなのになぜ?と

最初は分からなかったけれど

自分の手を見てようやく分かった


君は僕をあやしながら

「産声がネコみたいだったのよ」と笑っていたけど


仕方ないじゃないか

ネコだったんだから……


優希ゆうきという名前は僕が生まれた時に

貰った感じがしたから付けたらしい


優しい希望を貰ったのは僕の方なのに


独りで死ぬのは怖いけど

君が新たな勇気と希望をくれたから

僕は心おきなく旅立てる


いつか君とまた会える日を夢見て……


もしも君に会えたら

僕は何度も君にサインを送るだろう


そうして、いつか君は気付くんだ


僕が君の所に帰ってきた事に……

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