第3話 凡人という才能

「へっしゅ」

屋上での昼寝を終えた凡人はくしゃみをしながら校舎の隅に置かれている自販機の前に来ていた、いくら大きな学園と言えど誰も来ない自販機の一つくらいはあるので凡人はそこで連絡を待っていた、攻略者からの連絡は早ければ五分ほどで連絡が来るのだが凡人は直ぐに連絡が来ないようにあえて複数の事をお願いしたので三十分ほどかかると考えて屋上で昼寝をしたのだが

「既に一時間は経つのにまだ連絡が来ないのか」

凡人は屋上で昼寝した後に直ぐにここに来たので、勿論授業は受けていないがこの学園は経営者の息がかかっているので凡人と経営者は授業免除になっているので授業に参加しないのだ。

「にしても、流石に時間がかかるな」

凡人は時間がかかるのをすこしイラつきを覚えたので生徒会室に向かい、軽食を食べようとしたが

「仕事が―」

「経営者か、大方経費の申請だろ」

気にせずにドアを開けて入ると机に白くなっている経営者を見つけると勝手に資料をのぞき込む

「部活費用と申請書か・・・ちょっと待て!そうめんとうどんを見極める部って何すんだ!しかも部費がたけぇ」

因みにだがかなりの歴史を持つ部活だ

「変な部活の部費は減らして、各自の申請は放置でいいとして部費の増額申請は厄介だな、適当に分配はできないし・・・他の申請をやっておくか」

灰になった経営者を放置していくつかの仕事をこなす、そうしている内に攻略者からの電話がかかってくる、凡人は周囲を見渡して電話に出る

「攻略者か?」

「はい、凡人様」

「簡潔に言いますね、高校は把握しましたが自由人様が情報のほとんどを破棄してました」

「自由人が?なぜだ」

「直接聞きました、なんかたまったからここ最近は破棄したようです。」

「・・・ちょっと自由人を殺しておいて」

「拒否します。他の情報はお送りします」

「確認した、ありがとな」

凡人は送られた情報を確認した、そこにはある高校の名前と使われた凶器が書かれていた、その凶器を見て何かを確信して経営者を叩き起こして教育者を呼ぶ

「起きろ阿保!」

「いたい!女子を殴るか?普通」

「ああ?ただの拳だろ?」

「十分暴力ではないか!お前はそれだけひどいんだ」

「それよりも教育者が来たぞ」

ちょうど入ってきた教育者も交えて三人は座りながら、どのくらいの情報を持ち寄ったのかと確認をしたのだが

「凶器は糸だ、間違いないな?凡人」

「なんで俺なんだよ、まぁ正しいな」

「なぜですが?」

「被害にあった高校生の死体を見た後に公園について調べてね、凡人と同じく攻略者を使って・・そしたら公園の木に何かで切った後があったんだ」

「切り傷?」

「ああ、そして私たちはそのような後を出せる方法を知っている」

凡人と経営者の表情がこわばる、そして凡人が声を出す

「暗殺者か、にしてもこれで決まりだな」

「何がだい?凡人」

「今回の護符の正体だ」


ーーー

あれから話し合いを終えてすでに帰路に付く時間帯になっていた、凡人は一人で橋にいた中間地点にあるベンチに腰を置きながら缶コーヒーを飲んでいた、既に夕暮れは落ち辺りは夜の暗さを広げながら星が輝きを放っていた、凡人はそんな狭間のような場所で夜を迎えるのを待っていた。

 「来たか」

凡人は自販機でもう一つの缶コーヒーを買うとそれを夜空に染まった場所に放り投げる、投げられたコーヒーは姿を消して凡人の手にはコーヒー代金の120円が握られていた、凡人はそれで二本目を購入した

「そんなに飲んだら眠れないわよ?」

「心配無用だ、五本飲んでも睡眠に支障はない」

凡人がまたベンチに腰掛けるとその隣に人型の何かが座っていた、その何かは月明かりを浴びると姿を見してくる

「久しぶりね、凡人」

「ああ、暗殺者」

暗殺者と呼ばれた女性はクラシカルメイド服を着ていた女性でその髪は赤よりも濃く、人間の血液を更に濃くしたような色で片目を隠すほどの長い髪であった

「ふふふ、貴方は変わらないわね」

「ああ、お前は随分と変わったな・・前はチャイナ服だろ?」

「私は仕事上、服はよく変わるのよ」

暗殺者は凡人からもらったコーヒーを飲みながら、凡人と恋人と過ごすように時間を楽しんだ

「日本の高校生は好きな子とデートという物をするのよね?」

「お前の生い立ちが特殊だから言っとくと、ほとんどの国ではすると思うぞ、お前も気になる人がいるだろ?」

暗殺者は首を振って否定した、そして彼女の眼はどこか悲しそうな顔をしたが凡人は続けた

「人間好きな人間といる事が幸せらしいぜ」

「・・・本当に乙女の心が分からないのね、罪な男」

「生憎と生贄君にそのような考えはねぇよ、んじゃそろそろ行くか」

凡人はコーヒーを飲み終えてその場から去ろうとするが、暗殺者はある物を凡人に投げ渡す

「それが今回の武器よ、ただのナイフに見えるけども創造者が作った逸品よ!今回の糸も切れるわ」

凡人は何も言わずにその場から去っていった、残された暗殺者は空を見上げながら息をこぼすと

「本当に・・・今殺しが起こったのに何も言わないなんて」

暗殺者の後ろから無数の死体が落ちてきた、首には何かで切られた様な跡が残り、表情は誰かを狙いそうな顔をしていた

「ふふふ、凡人を狙おうとするなんて、なんて浅はかなの」

この無数の人間を殺したのは暗殺者であった、彼女の手には無数の刃物が握られていた。


ーーー

「あーねみぃ」

翌朝になり、凡人はいつも通りに起きようとしたが

「でれねぇ」

布団から出られずにサボろうと決めていた、凡人は一応頭だけを出しとくかと頭だけを出してだらだらしていた、凡人は授業免除の資格を有しているがそれでもかなりの課題が出されるのでそれを行わないといけないが、凡人は昨日の夜に終わらせいる。そのため後は課題を提出するだけであるがそのちょっとの努力にやる気が出ないので諦めて寝ようとするが

「起きなさい!凡人!」

凄いお母さんのような口調で凡人を呼ぶ声が聞こえるが凡人は布団からかたくなに出なかった、既に時計は朝食の時間に差し掛かっていて普段なら朝食(コーヒー)を取っているのだが

「もう、起こしに行くからね」

女性の声はかなり響いて、階段を上がって

「ちょっと待て!誰が家にいるんだ?」

凡人は焦って飛び起きた、凡人が住んでいるのは一軒家であるが凡人一人しか住んでいない、元々一人暮らしではあるが処刑機関のメンバーになったことで一軒家を与えられた。(最も凡人は処刑機関から逃がさないように与えたと考えている)凡人は着替えを直ぐに終えて部屋から出ようとすると

「おきな、あら?起きたの?もう朝ごはんできてるからね」

「いやなんで貴女が居るんですかね?暗殺者さん?」

「?理由いる?」

「必要不可欠だ」

暗殺者は普段のメイド服とは違い、白いエプロン(どこから出した?)に髪を編み込んでいて(どうやった?)更には薄手のシャツにジーパンを履いていた、普段の格好からは予想できないほどの姿に凡人は誰こいつ?と声にでそうになってた

「あれ?この恰好変かな?」

「季節的に春から夏だから間違いはないが・・・俺はおしゃれに関しては知識ないぞ」

「ああ、凡人はおしゃれは余裕のない女のやる事って言ってるよね」

「そんな処刑機関の半数以上に喧嘩をする発言はした事無い、おしゃれはやりたい奴がやればいいといっただけだ」

それも喧嘩を売る発言ではと思いたいが、凡人は本当にオシャレや美術分野に関しては無知なので何も言えないと等しかった、実際に処刑機関のメンバーで服装について話していた時は役のメンバーの中で凡人だけが話についていけなかった、勿論髪型についても何も言えなかった。

 暗殺者と凡人はそろって一回に降りると

「起きたかい?」

「ようやくか」

「??????」

凡人は頭に無数のはてなを浮かべた、何度も言うが凡人が住んでいるのは一軒家で凡人は一人暮らしである、その為経営者と教育者の二人がいる事は通常ありえないので、凡人は混乱しそうになるが

「ああ、説明するとね、今日から任務終了までは暗殺者と私は一緒に住むことになったんだよ」

「王の馬鹿やろうか」

「そういわないの、経営者ちゃんなんて女性慣れしてないあんたの為に来てくれたのよ」

「そうだぞ!お前は女性に慣れてないからな・・・よく言えば」

教育者が食器を並べつつ凡人に説明して、暗殺者は朝食を運ぶ、その横で経営者は凡人の寝ぐせを直していた、三人の説明に凡人は頭を抱えたい気分になったが何を言っても無駄とわかっているので諦めた

「というか、なんで凡人は女性慣れしてないんだ?暗殺者様も教育者様も良い人だぞ」

「言動によっては炎上するのだが、単純に言うなら自分中心すぎて殴りたくなる」

「「「人が嫌いじゃん」」」

三人の言葉が一致するほどの突っ込みに凡人はおびえる事無く席に着いた、あっけにとられる教育者と経営者を横に暗殺者は朝食を並び終えた、二人は直ぐに正気を取り戻し各自の飲み物を配り終えて、席に着くが

「?俺んちに食料なんてあったたか?」

「ないわよ」

「どうやって・・・まさか人間を」

「失礼ね!ちゃんと24時間やってる所から買ってきたのよ、教育者ちゃんが、経営者は服を持ってきてくれたのよ」

「ならいいか」

「教育者としては、ちゃんと言いつければよかったと思うよ」

「あら!あとで職員室ね」

「終わった」

凡人は現実逃避がてらに暗殺者が作った朝食に手を付け始めた(いただきますはしました)暗殺者が作った朝食はありきたりな物だがとても美味しそうであった。

「流石は元宮廷メイド長だな」

「あらうれしい」

暗殺者の前職はある国の宮廷のメイド長であった、そのおかげで基本的な家事はできるだけでなく数か国語を把握しており、殺し屋と言った者達に対する対処法も熟知しており、更には

「最悪の場合は私が凡人に変装するわよ」

「その場合は俺が死んでませんかね?」

メイドとは何かと疑問に持ちたかった凡人であるが、忘れる事にした、暗殺者が要した朝食はバタートーストにベーコンエッグ、コンソメスープにサラダと本当に基本的な物であるが、どれも高級ホテルにでてくるような飾りつけであった。

 朝食を終えると時刻は家を出る時間になっているが、凡人はまだ家を出なかった

「あら?遅刻するわよ」

「ああ」

ある準備をしてカバンと暗殺者のお手製の弁当を持って家を出ると

「流石だな、手際がいい」

「あら?すごいわね」

凡人は家を出る前に玄関に向かう途中で隠し持っていたナイフを手で回して、壁に隠してある拳銃(リボルバー)に弾丸を装填する。

「なまってないな」

凡人の家を出る時にたまに行う動作である、意味としては処刑機関として凡人もある程度の手ほどきを受けていると表向きではなっている。

 

ーー

 凡人が家を出たと同時に経営者も家を出ていた傍らで教育者と暗殺者は家から出ていなかった、暗殺者はこの家に住むので当たり前だが、凡人たちが通っている学校の教師でもある教育者も家を出ないのは不思議であったが

「腕はなまってないな、暗殺者のおかげかな?」

「あの子の努力の賜物よ」

 暗殺者と教育者は一つの資料をテーブルに出して一緒に眺めた、その資料には凡人について書かれていた、凡人が処刑機関に所属したのは中学の二年の時でその時に王と自由人からスカウトされたという理由で所属したのだが

「実際にはあの子の好奇心が問題よね、教育者ちゃん」

「ええ、前代未聞ですよ・・・面白がって通った道が処刑機関の支部に通じるなんて」

 実の所、凡人が処刑機関に選ばれた本当の理由が彼が制御できないからである。

勿論彼は常識ができているのだが、いかんせん好奇心が強い所があり「押すな」というボタンを力をいっぱいに押すタイプである為、当時の処刑機関のメンバーは彼を秘密裏に処刑することにしたのだが、いざ処刑しようとしたら機関支部を破壊したり、放火したりとやりたい放題なのでスカウトという形で構成員になったのであるしかも

「彼は人よりも常識が外れすぎている、流石の暗殺者さんも」

「ええ、あの子は異常すぎるわ・・・彼には通常の訓練よりもきつい物を用意したけれど、なぜか超えているし」

凡人は通常の人間よりも弱いのになぜか耐久力は人以上であり、きつい物にもなぜか耐えることができた

「凡人がこの先で必要になるのは分かりますが、なぜ今回の任務に彼を推薦したんですが?暗殺者さん・・正直に言います今回の任務は凡人に気づかれないようにするには大掛かりすぎますよ」

 教育者は今回の任務が凡人の為の訓練のように思えて仕方がなかった、その証拠に凡人は送られていない任務の髪を他のメンバーは受け取っていた

「あら?わかっていたのね・・・でもわかって欲しいわ、もう私はあの子を失いたくないの」

 暗殺者の手元には教育者には見えない物があった、その手にあった物は写真であった

 その写真には凡人と同じ学校の制服を着た暗殺者と暗殺者と凡人に似た夫婦の姿があった、その夫婦は一人の赤ちゃんを抱いていた

「・・・・世界で最高の男で、最後の家族だもの」




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