天界から追放された邪神様は下界で布教活動の旅を始めました。
@narouP5030
始まりの星
プロローグ
私の正面の法壇の上に座っている人が、机に向かって鎚を2回コンコンと音を鳴らして叩いた。
「審判を下す。邪神アザトース・カルナ貴方は多くの罪なき神々の信徒をあやめ、数多くの善神に謀反を起こした。よって2日後に天界からの追放を言い渡す」
いつかこうなる事は予想していた。
処刑になんなかっただけ良いとしよう。
なぜ私は生まれつき星の巡りが悪いのだろう…
ここは数多くの神様が住む中央王神星の天界、中央神域。
中央神域は、最高神である創造神の領地であり最も神聖な場所であると言われている。
私は神聖である中央神域にいては、いけない存在らしい。
なぜって...
悪神と漆黒の神と同じ黒髪黒目だから。
そのせいで、親にも捨てられた。
多くの人、神々に非難された。
やってもない悪事を押し付けられた。
だけど、神としての資質はあった。
そこら辺の神よりかは、勉学も魔術も、腕が立つと思う。
そのせいで...
見た目が見た目だからって、邪神の座につかされ、戦争で今にも生態系が滅びそうな星の管理を任された。
そんな星でも、私は見捨てなかった。
正体を隠して、積極的に紛争地域に降臨して、食料などを恵んであげ、いろいろな国の王に休戦の交渉をした。
そんなとき
いろいろな星に、邪神が降臨して悪徳行為をして、この世を不幸にしているという噂が広まった。
出どころは分からない。
その噂は物凄いスピードで広まり、瞬く間に私の管理している星まで広まった。
放置したのが悪かったのだろうか?
気づかないうちに、下界の人間から反感をかい。
一部の裏社会の人間からは、強い信仰を得て力を得るようになった。
次第にその力は、神々から危険視されるようになっていた。
その後1年たった時、破壊神軍と月の王国軍が月破同盟を結んで中央神域に謀反を起こした。
だけどその同盟は嘘で月の王国を滅ぼすための中央神域の作戦だった。
しかしその作戦は上手くいかず、月の王国軍が破壊神軍を滅ぼし、中央神域と月の王国の大規模戦争になった。
圧倒的な戦力を持っている中央神域がすぐに勝つと思われていたのに、月の王国は簡単には負けなかった。
戦争は次第激化して中央神域全体が混乱に包まれた。
その混乱している中央神域で栄光の神と祝福神が、邪神崇拝者を名乗る者に殺された。
その後中央神域でいくつかの神と人々が殺された。
邪神崇拝者を名乗る者が、内乱が起こしたのだ。
だけど私は知っていた、この中央神域で私を信仰するものなどいないと。
いたとしたら、邪神崇拝者としてぞんざいな扱いを受ける。
次第に衣食住がままならなくなり、中央神域では生きていけなくなるだろう。
私ですら神饌がないから、五年以上何も口に入れてない。
いくら仕事をしても、報酬なんて一度も貰えていないから、服はボロボロで毛玉だらけになっている。
暮らしはほとんどが檻の中だ。
この生活を人間が耐えられるとは、到底思えない。
いつの間にか、私のこころの奥深くから、嘆きがドンドン溢れてくる。
なんで私は生きているのだろう?...
生存本能に逆らえなかった、私が愚かだった...
早めに死んでおくべきだった...
死ねばもろとも、中央神域ごと消滅させてしまえば全て終わるよね...?
私は片手を頭の上に大きく振り上げた。
「なぁっ何をする邪神!!」
あたりの裁判官が、慌てふためき裁判所の外へ逃げ出した。
「中央神域の終焉です!」
私は体内にある魔力のすべてを、手のひらに込めた。
体内から魔力が抜けて意識がどっか遠くに飛びそうになるが、体全身に力を入れて必死に抵抗する。
そろそろ頃合いだろう。
さようなら…
『終焉のカオス• ディスインテグレーションッッ!!』
私の手のひらにある、丸い形の漆黒の魔力が強く眩耀して、私は思わず目を強く閉じる。
そして力をために溜め込んだ魔力を撃ち放った。
目を閉じているにも関わらず、黒い光が目に入ってくる。
どうなったのだろうか...
死んだのかな?......
私は強く閉じていた目を、ゆっくり開く。
そこには、魔法を使う前と変わらない、裁判所の姿があった。
「お前の信者は、中央神域への謀反を起こした、邪神に加担した者と見なして、処罰させてもらった!!」
私の後ろから男の人が楽しげ声をあげる。
「火神判で、灼熱した鉄の棒を鍛治の神に改造させて、お前の信者に持たせてみた時は、いい見ものだったぞ!」
この神とは久しぶりに会った。
恨んでる神の一人だ。
私は静かに後ろを振り返る。
「最初は自信満々で鉄の棒を握ったいた人々の手が、悲鳴と共に溶けて無くなっていった!だっはっはっは!」
「元お父様、これはどうゆう事でしょうか?私を陥れたと言うことですか!?」
そうこの人は、私を捨てた元父だ。
「そうだ!陥れたのだ」
「なぜそのような事を!?」
すると私の元父はニンマリと悪い笑みを浮かべた。
「邪神の謀反を治めた者として、神名をもらうことだ!!」
神名は私だと、邪神の邪のところだ。
元父は資質が無く、神名を授けられなかった。
そして今は無名神となっている。
神名があると、人々から信仰して貰いやすくなるので、上手くやれば多くの力を獲られる。
「そのようなことの為に、どれだけの人...」
「うるさい!!元々才能があるやつはいいよな!?どれだけ私が肩身狭い思いをしたと思ってる!!まあよい、信者がいなくなったお前はもう神としての力を持っていない。」
私の言葉を遮るように、元父が逆ギレしてくる。
「邪神を裁判中に、魔術を使おうとした罪で、今すぐ下界送りにしろ!!」
すると、後ろから2人の騎士が私の腕に手を回し乱雑に引っ張ってくる。
私は最後の最後まで星の巡りが悪い。
下界の転送先は、大量のモンスターの群生地帯だろう。
信者がいない状態では、魔術もろくに使えない。
信者を守れなかった、私への罰か?
どうせ下界でモンスターに八つ裂きにされ、殺されるだろう。
どうでもいいか。
私は2人の騎士たちに、裁判所の一角にある、床に大きな魔法陣が描いてある、赤いレンガ作りの部屋に連れてかれた。
その魔法陣の真ん中に私は乱雑に投げ出された。
「邪神アザトース•カルナを下界追放の刑に処する」
その言葉と同時に、魔法陣が光出す。
「テレポート」
その言葉と同時に、あたりがぐにゃりと曲がった。
私の視界の中は、次第に青い世界に包まれていく。
この青い世界はなんだろう?
私に肌に強く当たる風が心地よい。
転送先は針山で、なんの苦痛もなく一瞬で死んでしまったのか?
すると、私の視界一面を覆っていた、青い世界が一瞬にして、白い世界に変わった。
......これ...雲よね?
墜落してない?.........
まあ、モンスターに八つ裂きにされて殺されるより、落下死の方がいいかな?
私は死ぬのを待つだけだ...
来世は神じゃなくて、人間として生まれてきたいな。
私は強く目をつぶった。
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