光のそばで
なぎさに出会ってから、私は少しずつ変わっていった。
夜の街を二人で歩く時間が好きになり、戦いの合間に交わす何気ない会話が心を温める。
「りおんってさ、意外と真面目だよね。」
なぎさが屋上の柵に腰掛けながら、クスクスと笑った。
「……意外と?」
私は頬を膨らませる。
「うん。戦い方もまっすぐだし、一度決めたら絶対に引かないでしょ?」
なぎさは私の手をそっと握る。
——あたたかい。
こんな風に手を握られたのは、いつぶりだろう。
「……そういうなぎさこそ、ちゃんと眠れてる?」
私はなぎさの顔を見上げる。
「え?」
「いつも私のことばっか気にしてるけど……無理してない?」
なぎさは一瞬驚いた顔をして、それからふわりと笑った。
「大丈夫だよ。」
その笑顔が、どこか不安をかき立てた。
でも、私はそれ以上何も言えなかった
最近、影喰いが強くなっている。
魔法少女になったばかりの頃は、矢を放つだけで消滅したのに——
最近は、倒すのに何度も攻撃を重ねなければならない。
そして、それ以上に 違和感 があった。
影喰いに触れられた時、私は 体が動かなくなった。
耳元で囁かれた言葉が、まだ頭の中に残っている。
——「お前はもう、影の中にいる。」
その声が、夜になると何度も聞こえた。
お前が生きる意味はない」
夢の中で、影が勝手に動いた。
「結局、誰もお前を必要としていない」
——違う。
私は、今は、なぎさと一緒に……。
「なぎさだって、本当にお前を必要としているか?」
私は、目を覚ました。
額に汗が滲んでいた。
心臓がひどく痛い。
りおん?」
なぎさが心配そうに私を覗き込む。
「最近、ちゃんと眠れてる?」
「……大丈夫。」
嘘だった。
でも、私は この手を離したくなかった。
「そっか。」
なぎさは私の手をぎゅっと握り直す。
「私は、君を一人にはしないから。」
その言葉が、なぜか怖かった。
——私が、いなくなる日が来たら?
なぎさは、その時も 私を手放さないって言うの?
戦いの夜が来た。
影喰いは、今までとは比べ物にならないほどの速さで動き、私の矢が当たらない。
「くっ……!」
気づけば、背後に気配があった。
——しまった、動けない——
影喰いの触手が私に向かって伸びる。
その時——
「りおん!!」
なぎさが飛び込んできた。
ドサッ——
私は、音の方を振り返る。
「な……ぎさ……?」
なぎさが私の目の前で 倒れていた。
腹部から血が滲んでいる。
影喰いの攻撃を 私の代わりに受けたのだ。
「……なんで……?」
なぎさは苦しそうに笑う。
「……君を……守りたかったから……。」
「やめて!!」
私はなぎさの手を握る。
彼女の体は、今までで一番冷たかった。
影喰いが、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
なぎさの血が、地面に広がっていく。
私の中で、何かが壊れる音がした。
—— どうして、私じゃなくて、なぎさなの?
—— どうして、なぎさは私を守るの?
その答えを知る前に、私はただ、目の前のなぎさを抱きしめることしかできなかった。
魔法少女、愛を謳う @shioshio19
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