蘇りラスボス少女、世界を救う〜憎まれようが感謝されようが、これが私の贖罪

@coco8958

彼女の今まで


シャーレ・エル・ファルナーゼ。




この世界で彼女の名前を知らない者はいない。



彼女が没して100年が経った。




その今でも彼女の恐ろしさは未だに語り継がれている。




大地の半分を更地にし、異形をこの世界に産み落とした邪悪な存在。



人間だったが、既に人間ではない何かと化していた。






彼女は恵まれた存在ではなかった。



6歳までを小さな村で両親と過ごしていたーーここまでが彼女の幸せな記憶。



白髪の髪と紅の瞳を持って生まれた彼女は差別の対象だった。


しかし両親はそれらを退け、彼女を必死に守り、その愛に包まれて育っていた。



だが、盗賊により両親は殺害され、奴隷として売り払われた。



15歳の時に商売道具として使い物にならなくなった彼女は、裏路地に捨てられた。



そこから魔術的な実験動物として拾われ、普通なら百回死んでもおかしくない仕打ちを受ける。



だがそれを生き延び、実験の影響で人間ではない何かと化した。



18歳の時に自由の身になる。と言っても不労の存在になった彼女は未だに15歳の姿のまま、年齢という指標は役に立たなくなる。



それから3年後、信頼できる仲間を見つける。


しかしその2年後、人間でなくなった彼女は、衝動的に仲間を食い殺してしまう。自死を試みるものの死ぬことはなかった。



なんの後ろ盾もなく、町に入った彼女はその容姿から侮蔑され石を投げつけられた。



10年後、森で一人で暮らしていた彼女は孤児の少年を拾う。



今度は同じ過ちをしないようにと、人喰いの衝動を自身を食べて紛らわし、せめて独り立ちできるまで育てようとする。



その少年は彼女に懐いて打ち解けた頃、彼女から放たれる膨大な魔力量にやられて中毒死する。



そこから彼女は自分を殺してくれる存在を求めて世界中で荒らしまわった。


自身の血を他者に混ぜて創り出した異形達がより被害を加速させていった。



その過程で世界の半分を滅ぼし、混沌に陥れた。



勇者が現れ、彼女は彼に打ち取られた。





「殺してくれて......ありがとう」







それが最後の言葉ーーー




そうなるはずだった。

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