第11話 飲水問題
水源の近くに拠点を作るのは基本中の基本だ。
一番の理由は飲み水の確保が容易だから。
考えることは人間以外も同じで、様々な生き物が水源に集まってくる。
そうなると狩猟もしやすく、動物性タンパク質の確保に繋がる。
あとは単純に掃除と洗濯がしやすいって利点もある。
だから水源の近くにベースキャンプを作っておけば、冒険者の初級試験では合格点が取れる。
問題は川がどこにあるかだが……どこにあるの?
たぶんここ、山の麓っぽいんだよな。
樹海感が半端じゃないし。
傾斜もすごいから、麓の中でもさらに山寄りの場所って感じだ。
となると、このまま低地に下って行けばいい気もする。
当たり前だけど、水は低いところへ流れる。
「なんだこれ?」
私は不意に足を止めた。
ちょっと興奮している。
腐葉土の獣道に、直径3メートルほどの浅い窪みができていた。
興奮しているのはその窪みのせいではない。
「見たこともない鉱石だ」
窪みの底にある、黒光りする謎の鉱石のせいだ。
腐葉土の一部は炭化しており、周囲の木々も焦げついた痕跡がある。
私は坂道を下って、窪みの底へ近づいた。
黄金ロリさんもふよふよと浮かびながらついてくる。
埋没している鉱石は、板状で長さが120センチほど。
土を腕で払い退けると、表面は鏡面のように艷やかで平らだった。
鉱物オタクの私でも初めましての石である。
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【
レア度:9
天から降りしもの。
触れる者は微かな鼓動を感じるというが、その正体は不明。
その硬度は異次元で、千年にわたる風化や侵食にも耐え抜く。
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天から降りしもの?
「おお隕石か! 隕鉄みたいなものかな?」
ていうか説明文がやけに神秘的だぞ。
微かな鼓動を感じる?
手を触れてみても、私には何も感じないが。
鉱物だよな、これ。
鉱物だよな???
あとから生物って言わないでくれよ。
「待て待て待て……」
私はある項目を見て、我が目を疑った。
レア度9って。
あれだけ苦労した幻遁蜜ですらレア度5だというのに、9って。
どんだけ希少なものなんだよ。
「……いただいておこう」
道に落ちているものを拾うのは別に泥棒ではない。
「鉄より重いな」
指を引っかけて持ち上げるが、見た目のわりに重量があった。
120センチの長さがあるとは言っても、厚みは5センチ程度。
平べったい板状の鉱石だ。
だから高々200キログラムくらいかと思ったがそれ以上はありそうだ。
「ギリギリ入るってところか」
私はアイテム袋の口を目一杯開いて、袋を破らぬように隕皇石を収納した。
いやー、いつかは加工してみたいな、この鉱石。
説明文を見ている限り、耐久性は比類なきほどだ。
まあ千年経っても侵食されない石をどうやって加工するんだって話だが。
この鉱石で何か作ってみたい欲だけは一丁前に膨らんでいく。
「ん? これは、シダ植物の根か?」
窪みの底にいると、窪みの側面にたくさんの植物の根が見えた。
露出している根っこを一掴み、ぶちぶちと引きちぎってみる。
種子植物のような主根や側根を持たず、仮根と呼ばれる根を持っていた。
非常に細かい毛束のような根っこだ。
シダ植物の特徴の一つである。
よく目を凝らしてみると、根っこの繊維がモコモコしているのがわかる。
これは根と共生する菌類、いわゆる菌根と呼ばれるもの。
菌類が仮想の根っこの役割を果たし、水と栄養の吸収効率を高めてくれる。
これもシダ植物によく確認される形態だ。
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【
レア度:3 品質:S 鮮度:D
シダ類。
葉の表面に無数の透明な突起を持つ幻想的な植物。この突起は光を受けると水晶のように輝き、その美しさから「森の宝石」とも呼ばれる。
魔素濃度の高い場所に群生している。
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やっぱりシダだ。
……シダだ!!!!
「うむ? どうしたのじゃ、アーロン。そんなに真剣に眺めて」
私が興奮しているのにはわけがある。
「ロリさん、水源が近いですよ」
「のじゃ?」
どうしてそんなことがわかるのじゃ、という顔。
「これはシダ植物の根っこ。水辺によく生える植物です」
「なんじゃと!?」
私は腐葉土に指を突き刺し、20センチほど掘り返してみた。
「土も湿ってますね。粘り気もある。あれは……蜂か」
蜂も、水辺に巣を作る虫だ。
「このあたりを下っていきましょう。川があるはずです」
「わかったのじゃ!」
おそらく、鑑定眼鏡だけではこの森では生きられない。
やみくもに鑑定しても意味はない。
冒険者としてのサバイバル知識、
職人としての素材と物作りの知識、
これらと鑑定眼鏡が掛け合わさってようやく価値が生まれる。
つまり――
「さすがじゃな、アーロン。水の音が聞こえるぞ」
私であれば、煉獄の森は攻略可能かもしれない。
―――
黄金ロリ「偉大な大地の女神である妾が、お主らにこの世界の秘密をちょっぴり教えるのじゃ!」
◇レア度
1:一般素材
日常的に手に入る基本的な素材。
2:???
3:地域限定素材
特定の環境や地域でのみ採取可能な素材。
4:???
5:上級希少素材
強敵や特殊な状況でのみ入手できる、高い価値を持つ素材。
6:???
7:???
8:???
9:超越級素材
人知を超えた力や未知の可能性を秘める特別な素材。
10:???
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