わたしのはんこうき

菜の花のおしたし

第1話 音楽の山川先生への反抗

ふと、娘と反抗期の話になった。


えーと、私の反抗期って?

ああ、中二病?だった?

中学二年の時、担任は山川先生っていう音楽担当の男性教諭だった。

昔の先生だからキチンとしてたのね。

七三分けに眼鏡をかけて、スーツを着ていた。結婚指輪もしててスラリとしてた。

生徒なんて、言う事聞かなきゃゲンコがあったりまえ。なのだけど、一切の暴力を振るなんて事もなく、大声で怒鳴りビビらせることもなかった。

たぶん、30代前半だったと思う。


ある日、先生が雑談として「赤ちゃんが産まれた。」と話した。

そして、それが双子ちゃんだと。


そこからだ。体育の着替えの時に誰か忘れたけど

「先生、双子だなんて不潔だと思わない?」

その一言から伝播して、クラスの女子全員から山川先生は無視される事になってしまった。

学級委員も無視。先生に挨拶する時は無言で頭だけ下げる。必要以外は話さない。

先生も異変に気がついた。

先生は学級会でそれとナーシに探りを入れてきたんだけど、、。

男子もおかしいとは思ってたけど、理由は知らなかったから先生はわからんまんまだった。

悩んだ先生は、女子ひとり、ひとりと面談する事にしたのだった。

「なんで?女子だけやるんだろうね。気持ち悪いよね。」

「私、絶対喋らない。口を聞いたら不潔になるもん。」


そうとも知らずに先生は面談をした。

「菜の花さんは学校で困ってることありませんか?」

「ありません。」

「クラスはどうかな?」

「普通です。」

「先生の事を女子は何か言ってるかな?」

「知りません。」


ひとりが面談が終わるとどんな事を聞かれたの?って皆んなで情報共有してたから

多分、誰に聞いても同じような返事だったと思う。

それで、さっぱりわからなかった先生は、悩んでたんだろね。

なんか、髪の毛が乱れてたり、やつれてきた。

だけど、結局、一年間、女子の態度は変わらなかった。

三年になりクラスも別々に皆んなとなり、音楽の担当は山川先生だったけど

もう、どうでも良くなり。

先生は担任を持たなかったせいで、元気になってた。


今でも友達となんで、あんなに不潔!ってなったんだろねえ、、。山川先生良い人だったのになぁと後悔しきり。

あれ、「双子」がダメだったんだよね。

意味わからないけど、思春期のわけのわからない潔癖さがなーんか「双子」と性的な事にリンクしたんだと思う。


そら、今振り返ってみたら、先生は30歳くらいだもん。子供いていいんだけど。

当時、私達の目から見た先生はおっさんだった。。

つまり、50歳くらいに思っていたんじゃないかな。

だから、無性に腹が立ち、淫行のように感じとった。


先生、えらい災難だったと思う、全く申し訳なく思っております。






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