ミアキスの『ねね』

「痛ったぁぁー!」


うちは、いきなり顔をひっぱ叩いてきた犯人を、鬼の形相で睨みつけたわ!


···············


「あっ ねねやんか!」


そこには、慌て顔をしながら空いた口を両手で塞いでいる大人の女性の姿があった。


そう、その母親の名は、『ねね』って言う獣天女で、うちの知り合いやってん。

姿形は、茶色のロングヘアで桜柄のピンクの着物を纏った頭部には少し尖った耳が二つとお尻に細長い尻尾が生えているスラッとした落ち着いた雰囲気の大人の女性って感じやね。


そしてねねは、『ミアキス』と呼ばれる種族でもあってん!


そやけど⋯⋯

「えーーー! 今、うち! あんな鋭い爪の手でひっぱ叩かれたの~!?? くぅ~」

うちは、その鋭い爪にビックリ仰天!


そしてお決まりの·····うちのほっぺからは⋯⋯

やはり、血がダラ~。


すると、「あっ! ごめんなさい。不審者と思ったら⋯⋯⋯ 蓮ちゃんだったのね!」

と、謝ってきたねねだった。


彼女は、【犬猫の始祖】と呼ばれており、森林から草原へ生活の場を移して行った子孫達が【犬】となり、その逆で草原へとは行かずに森林に残った子孫達は、【猫】となっていったのでした。


「あっ 大丈夫っ! 」

うちは、ほっぺが血まみれになりながら会釈した。

(ほんまは、めっちゃ痛かったんやけど⋯泣)


「ん? どうかしたん。ねね、 なんだか元気がなさそうなんだけど·····」

うちは、ほっぺから血を垂らしながら、何やら困った顔をしていたねねの表情に気が付いてん。


「ん~~ まぁ~~」

なんだか話しにくそうなねねだった。


うちは、ねねの肩を優しくポンポンと叩き、

「ねね! うちとあんたの長い付き合いの仲やん。なんかあったんやね? 良かったら話して貰えんかしら·····」

「じ、実はね····· 蓮ちゃん·····」


普段あまり弱音をはかないねねだけに、この雰囲気は、ただ事では無い感が凄かってん!


「ごくりっ!」

白い木造和風宮殿内が、みるみるうちに張り詰めた空気に変わる!

うちは、今からねねの口から発せられる言葉に、屈しない様に、心の対迎撃体制へと身構えた。(さぁ、来い!)


すると、ねねの薄く塗られた紅い唇が、ゆっくりと開き出す!

「じ、実はね·····蓮ちゃん。私の夫の『梅虎天』が数日前から行方不明なの·····」


「え、えーーー!?」


思いもよらぬ角度からのカミングアウトだったので、うちは、空いた口が暫く閉まらなかった·····。






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第一弾 『うちは天上系関西弁ライター「蓮ちゃん♡」』 蓮花🪷⟡.·*. @RENKA-HAS

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