第3話 蒼天翔けるは見たことない鳥(魔物?)

 六甲山が異世界に繋がっていた件は、取り敢えず横に置いておく(笑)


 迷って、疲れて、ちょっと休憩しようと座り込んだのが運のつきだ。

 すっかり眠り込んでしまい、目を覚ましたら眼前にエルフがいる超展開。


 私の人生に何が起こった⁉️


 ま、まあ、元より天涯孤独に近い身の上だし、

 『異世界転移?ドンと来い!』だが、エルフの村で暮らしだし、カルチャーショックの連続だった。


 だってこの人達、昼食食べないんだよぉ‼️


 おぉ‼️おぉ‼️おぉ‼️……


 そこか⁉️

 しかも木霊が返るほどかと突っ込まれそうだが、私、まだ13歳。


 育ち盛りには厳しいよぉ‼️


 森に迷っていた私を連れ帰り、家に住むことを許してくれたアイリによると。


 エルフと言う種族は長生きだ。

 軽く1000年以上生きるんだって。


 しかも、20歳くらいまでは普通の人族と同じように成長、そのまま若い容姿で悠久の時を過ごし、寿命の50年から100年前に一気に老け始めるのだ。


 なに、その詐欺仕様⁉️

 若いピチピチの600歳とかがいるってこと⁉️


 ……

 話がそれた。


 そんな風に長生きなエルフだから、好きなことしかしなくなる。


 人生が長過ぎて、好きなことに集中しないとやりきれないのだ。


 ずーっと突き詰めて、笛を吹き続けるエルフ。

 ずーっと、ただずーっと狩りだけをしているエルフ。

 ずーっと畑を耕しているエルフ。

 ずーっと……


 突き詰め過ぎて、昼御飯とか、食べている場合じゃ無かったのだ。


 いや、私は食べるけどね。

 付き合い切れない。


 村の中央にある貯蔵庫は……

 普通の小屋みたいな見た目だが、実はスゴい機能があると、アイリに習った。


 エルフは魔法が得意だ。


 魔法が無い世界から来た私にとっては、

 『なんのことやら?』だが、小屋には『時間停止』の機能があるらしい。


 野菜も肉も新鮮なまま。


 農業にこだわるエルフの作物や、狩りにこだわるエルフの獲物の肉、アイリが言うには10数年前に買い出しに行ったらしい小麦粉(『農業エルフ』は、麦は作るが小麦粉にするまではしないから、小麦粉は買うもの)などが貯蔵され、欲しい人が使っていいのだ。


 2日前、狩りエルフ達が村上空を飛ぶ、翼竜みたいな生物(魔物?)を弓で落とした。


 あいつの肉かも知れないなぁ、と思いつつ、焼いて、10年以上前の出来立てパンに挟んだ。


 パン柔らかい。貯蔵庫スゴい。


 調味料は普通にあるし、旨かった。


 よくあるイメージから逸脱して、だいぶガサツと言うか、行き当たりばったりなエルフ達だが……


 「うまーい‼️やっぱりシンリの料理最高‼️」


 不味いよりは上手い方がいい。

 その程度のこだわりはあるようだった。


 よかったぁ。


 今夜のメニューは謎肉と……


 文字通りの謎肉だ。

 昼に食べた翼竜らしき肉じゃない、豚肉っぽいのを見つけた。

 人参、玉葱、ジャガイモもあるし、キノコに、ホウレン草もある。

 小麦粉はあるし、謎バターと謎乳もある。


 ここまで揃えばクリームシチューだ。


 材料に『謎』が多いのは問題だが、何の肉なのか、何の乳なのかわからないしねぇ。


 私は施設育ちだし、外に出て困らないだけの家事は一通り仕込まれている。


 まあ、プロじゃない、普通の家庭料理だから、

 「真面目に大正解だったよ、シンリ拾ったの‼️

 美味しいよぉ‼️」

 あまり大袈裟に騒がれても困ってしまう。


 聞けばアイリ、興味がないことはしないエルフそのままに、素材そのまま……

 1週間連続果物のみ食卓とか、していたらしい。


 あー、そりゃ大騒ぎしても仕方がないか。


 「本当、最高、シンリ‼️

 絶対『鑑定』とかすれば『料理人』って出るよ‼️」


 ん?


 「『鑑定』って魔法、やっぱりあるの?」


 聞き咎めた私に、

 「そりゃあ、あるよ」と、アイリは胸を張る。


 「スゴくレアな魔法だけどね。

 あ、でも、シンリにはあるんじゃない?

 『界渡り』には、『鑑定』と『アイテムボックス』が付き物だし。」


 は?

 

 なに、そのテンプレ仕様‼️

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