過保護
第10話
ふと、目を開けたとき、由良の目の前にはふたりの男の顔があった。
妙に整った顔二つで視界のほとんどを占めている。
ん?と由良は首を傾げかけて、頭上にある冷たさに気づいた。
「……みこ兄と、湊……?」
どこか心配そうな表情を浮かべているのは見知った顔だ。
由良は嵐神倉庫を出て、諌那と別れたあとのことを思い浮かべた。
途中で、ここでいいからと諌那を倉庫に帰して、由良は普通に自宅まで帰ってきた。
日陰を選びながらゆっくりと帰宅した由良はリビングのひんやりとしたソファに倒れ込んだ。
倒れた、というほどでもないが、冷たさに包まれて寝てしまいたかった。それだけだ。
周りを見渡してみても由良の住んでいるマンションの部屋で間違いない。
「由良、大丈夫か?」
尊の声に由良は疑問符を浮かべるしかない。
(大丈夫って、何が?)
尊は不思議そうな視線を向けている由良に手を伸ばして、額に乗っていたらしいタオルを取った。
頭上で感じていた冷たさが遠のいていく。
このマンションはオートロックだが、この二人がここにいることは何ら不思議ではない。
由良のマンションの鍵は霞のメンバーが大量に複製して持っている。
急に乗り込んでくることも普通、といえるほど頻繁にある。
どうやって?とは思わないが、どうして、という疑問が浮かぶ。
「全く、お前は相変わらず自分のことには無関心だからなー……」
呆れたような湊の声に意味がわからないという表情を浮かべる由良を見て、二人はまた苦笑した。
「どうせまたまともなもん食ってないっしょ。飯作ったから食いな」
「ひとりで食べられるか?俺が食べさせてやろうか?」
湊の前に割り込むように尊が由良を心配そうに覗き込んでくる。
「……おい、尊てめぇ邪魔だどけ」
そんな尊の頭を押しのけるようにした湊の額には青筋が浮かんでいるのが見えた。
由良はゆっくりと体を起こして、いままで寝ていたソファに座りなおす。
「ありがと、湊。みこ兄、ひとりで食べられるよ」
ゆっくりと、おそらく今日はじめてのまともな食事を食べる由良を、尊と湊は安心したような顔で見つめて、対面するソファに腰掛けた。
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