もともと好きな作者さんですが、女訟師という聞いたことのない職業に惹かれて読み始めました。ちなみに訟師というのは弁護士のようなもので、訴状の代筆などを行っていたひとのことだそうです。
精華の仕える主人・温徳嬪が大切にしていた形見の白磁が、皇帝の寵妃である孟淑妃に借り逃げされてしまうところから物語が始まります。
本来なら泣き寝入りするしかない状況ですが、父が訴師だった精華は訴状を作り、裁判を起こすことに。
後宮という閉ざされた世界での裁判はいったいどうなるのか?
出番は少ないですが、無能と呼ばれる皇子がいい味を出しています。
短編なのがもったいないような内容ですが、納得のいく終わり方で満足させてくれます。
長編希望!と声を大にしていいたい作品です。
ぜひ、読んでみてください!
許された字数にあわせてお話の形を組み替え、エピソードや描写を調整しレギュレーションに合ったいい作品に仕立てる。
短編→長編ならやれるかもしれない。でも長編→短編の場合はどうだろう?
「このエピソードもこのキャラ描写も好き! でもないことにする。字数が限られているから」
「ないことにすると他のこのイベントも面白くなくなるから使えない。はぶく」
こんな作業をやりながら短編として面白くなるよう組むには、技術や慣れやそれに代わる素質がいると思います。
「これを膨らませたらどんな長編になるか、それは面白いか? ちゃんと長編として仕上がるか?」
その質問にきっちり完答するパイロット版。
読んで楽しくもあれば、書く方には切り詰め作業の参考になる一本でもあるかと思われます。
また「面白さ」の質ですが、短い中にも作者さまの作家性、空気感、滋味、がしっかり出ていて、個人的にはとても好きです。
タイトルで「合わないタイプのお話かな?」となりそうな守備範囲の方も、ぜひともどうぞ。