第4話 3人とも100切り! まぁハーフでなんですけどね。

 前半9ホールを終え、クラブハウスの横にある簡易練習場にて。


 私、キャディの孟子 蘭もうし らんは『鬼』と化す――


「ほら大尾さん! 前後移動が過ぎるって言ったでしょう、左足を浮かさない!!」

「だーかーらー、なんでショートアプローチでそんなに大きく振るんですか徳富さん、コンパクトに!」


 大尾さんと徳富さんにはショット練習用のネットで特打ちをやらせている。ただ、こうしてガンガン打たせて見るとまぁ叩くのも無理は無いわなって思う。だって毎回フォームが違う形になってるし……もっと打ちっぱなしに行ってこい!


「いいですか? カップは直径1m、深さ3ミリだと思ってください。こぼれないようにピン付近で止めるつもりで!!」


 鳩賀さんにはパット練習用のシートの先の土に1mほどの輪を書いて、そこでボールを止める練習をさせてるんだけど……毎回毎回転がる距離が全く安定しない。どーやったら5mほどのパットを加減して打ったら、たった50センチで止まるのよ!



 この3馬鹿、前半だけで90以上も叩きやがったんです。ちなみにウチは田舎の小さなコースで9ホールのみ、ロングホール(パー5)は無く、ミドルホール6つ、ショートホール3つで、パープレイ33のコースで……。

 よくあるゴルフ中継のスコア表示、ほら首位が-5とか-7とかのアレで言うと、+57とかいうバカげたスコアなんです。アンタら少なくとももう半年はここに通ってるんでしょうが!


 しかも叩きまくるせいで時間がかかって後ろが3組もつっかえちゃったもんで、ハーフを終えたと同時にラウンドを中断し3人を連行して、後ろの組が通過するまで時間つぶしを兼ねて指導に当たってるんです。


 ……まぁ前回も前々回もその前も同じパターンだったんだけど、結局効果は無かったんですけどね。



「よっしゃぁ、上手くなった気がする!」

「これでチョロともオサラバじゃあ!」

「生まれ変わった私の見事なドライバー、とくとご覧あれ」


 ……だから、どっから来るのよその根拠のない自信はぁ。

 コースってのは、練習で仮に30球に1球ミスショットが出るなら、その1球が本番で出るもんなんですけど。



 カッシュウゥゥゥーーン……ガサッ


 後半イン(2周目)の1ホールは、予想通り大尾さんの豪快なドライバーOBで幕を開けた……。


 だめだこりゃ。

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