第9話 07:00

「頭が痛ぇ!フラフラする!」


錬成の為か。頭痛と吐き気がする。

「二日酔いみたいだ、アスピリンをくれ…」

『ごめんなさい。材料があればすぐに作ります。』

「無理だろ。解ってるさ。冗談だよ。」

『…ごめんなさい…。』


しかし、チクショウこんな時に体調不良か!

だが、ナイフは手に入った。

スカートの中に隠すか。


牢屋の檻をガンガンと叩かれる。

「出ろ!6419番!!」

3人の衛兵が目の前に立つ。

「へっへへ…なんかやっちゃいましたかね?」

にっこりと笑いかける。

「移送だ。重犯罪者用の房へとな。」

「マジかよ…俺は大罪人かよ…。」

男達が取り囲む。


廊下を男達に囲まれながら歩く。


衛兵の一人が問う。

「アンタ、何やったんだ?」

「よせ、個人的接触は禁じられている。」

「いいじゃないか、今際の際さ。」

「…おい。」

「ずいぶんひでぇ事を言うな、…聖女らしい女をイジメたらしい罪さ。」


「…は?なんだそれ?」

衛兵の一人が絶句する。

衛兵達の足が止まる。

「そんなことで、殺されるのか。」

「そんなことだからさ。この国の王子は頭花畑な女が好きだとよ。

こちとら政治学、経済学やら帝王学やらを学んだってのによ。

ケッ!お気に召さなかったらしいぜ。」



「イジメっつうのもよ、俺はただマナーについて講釈たれただけぜ。

淫売みてぇに男にしがみつくなってさ。

そしたら奴さん、”あーん、愛を示しているだけなのに!”だってさ!

しかも股を擦り付けながらよ!

この国はもう、おしめぇだよ。」


「それが本当なら…ひでぇ話だ…。」

「あんたらはいい人達だ、願うならこの国から離れた方がいい。

この国を出て、どこかで平和に暮らすんだ。」

「そうだとして、俺には簡単に仕事を離れることができない…。

人々の期待がある…人々を守らなくては…。」


「そんなもん、放っておきゃあいいのさ。」

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