第2話 23:00~24:00

「ん…あぁ…?」

身じろぎする。

固く、冷たい感触。

「んあ…ここは…牢屋か…?」

起き上がり、はっきりとしない頭でぼんやりと、空を見つめる。

「(そういや、俺は死んだんだっけ。するてぇと、今は?)」

音もしない、静かな部屋。

冷たい石造りの牢獄。

ふと気が付く。

白魚の様な細い指。

透き通る様な白金の髪。

「(なんじゃあ、こりゃあ…!

 やっべぇ!異世界転移か、憑依か…!どうしよう

 大した技能も無ぇのに…!)」

ふと背後に気配を感じ、振り向く。

綺麗な白金の髪をした、少女が浮かんでいる。

『ようやくお目覚めになったのですね』

微笑んだ少女と自分は同一の存在なのだと気付く。

『私はアルナ・ウェンフィールド。あなたに助けを求めました…。どうかわたしを助けてください…』

助けを乞う少女に俺は微笑み返した。

「ああ、まずはボディチェックだ」

『えっ?』

おもむろに胸を揉みしだき、股間に手を入れる。

「んっ…やっべぇ声でちゃう…」

『いやっ!やめて!私の体をオモチャにしないでぇっ!』

『最低っ!どうしてこんな時にこんなことをするの!?』

「こんなときだからさ…俺の記憶が正しければ、明日の朝8時に俺達は拷問され、殺される。」

『えっ?』

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