like a epilogue

 雲の上に並ぶ長蛇の列。世界中の魂がここには集まり、神様による審判は一人ずつ行われるため、自分の番が来るまでは想像を絶する時間を要する。

 だが、天国と地獄の行き先を決められる審判は死者にとっては必須事項であり、避けることは出来ないのだ。


「では次の方、どうぞー」


 神様が呼び込むと、一人の少女が前に歩いてくる。神様は慣れた手つきで望遠鏡のようなものを取り出し、少女の姿をよく観察する。

 少女は無愛想で、落ち着いており、ただ神様の次の言葉を待っている。


「君、あれだな、透明すぎるな」


 思わず、彼女は聞き返す。


「え?」


 神様は望遠鏡から目を離すことなく、続ける。


「君の器見たけど、中が透き通っちゃってるよ。口から出てる言葉が白色とか灰色とかしかない、こんなの初めて見た」


「は、はあ」


 彼女は不思議そうに返事を返した。神様は望遠鏡を目から外し、少女に告げた。


「君さあ、好きな嘘ってある?」


 突然の問いに彼女は驚いた。そして、少しばかり沈黙が続く。彼女は雰囲気に押されるように答えた。


「天動説、ですかね」


「何それ」


 

 この日から数日間、列は進まなかった。


 



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about girl 氷星凪 @hapiann

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