テーマ: 星のかけら




お年玉の代わり。

そう言っていとこのお兄ちゃんが

キラキラとした石が詰まった小瓶をくれた。

全部本物の宝石なんだそうだ。



え、これめちゃ高いの?



本物と聞いて思わず失礼なことを聞いてしまったが、

お兄ちゃんは怒りもせず本物だけど安いよ、

と教えてくれた。


本物なのに安いって意味がわからない。

?に頭が支配されていたらさらに解説してくれた。

天然石が高くなるためには条件が沢山あり、

条件から外れると途端に安くなるもので、

今回くれた小瓶の中身は小さ過ぎたり

加工の途中で欠けたりしたもので

価値はほぼないのだという。



だけど綺麗だろ?



価値がないと聞いて少しがっかりしたが、

綺麗なのはその通り。


なんの石か見当がつかないのでどれがどれかわかる?

と聞いてみたら、

これはオパール、こっちはクオーツ、

この青いのはトパーズで、緑はペリドットかな。

これは小さくてもギラッとしてるからジルコンかも。

詳しくは検査してみないと確定にならないけどね。


宝石は偽物も多くて、肉眼で確定させるのは難しく、

科学的な検査をしなくてはわからないのだそうだ。

これを買ったのはモールに入っている店ではなく、

普段から天然石を加工して売っている卸なので、

加工途中で出来たクズ石をまとめて

小瓶に詰めて売っているのだそうだ。


石としての価値はないけど、見てて綺麗なので

それなりに買う人がいるらしい。


宝石って全部高いのだと思っていた。

宝石だけど安いってこともあるんだ。

知らない世界が小瓶の中から見える。



これ全部長い時間をかけて地球が作ったものだよ。

僕たちは星を砕いて使ってるんだ。



そう言われてみて、宝石が綺麗で高いもの

以上の知識がないことに気がついた。

宝石ってどうやって出来るんだろ。

なんで高いんだろ。

誰が決めるんだろ。



目の前の星のかけらはキラキラと光ってる。

それが知らないことの煌めきに見えた。



帰ってから調べてみよう。



お兄ちゃんに良いものくれてありがとうと

お礼を言った。




石に興味が行き過ぎて、

宝石の卸なんてマニアックなところに

どうして行ったのかは聞けずじまいだった。






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